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2026年3月5日木曜日

Shimano TIAGRA R4000 シリーズ | シマノ 新 ティアグラ 2x11速コンポーネント 互換性と立ち位置を考える

Shimano TIAGRA R4000 シリーズ | シマノ 新 ティアグラ

事前にリーク情報も出回っていましたが、2026/3/3に公開された「Shimano TIAGRA R4000シリーズ|シマノ 新ティアグラ」。ちょうどAppleのmacbook neo含む「Big Week」や、米国とイスラエルによるイラン空爆に伴う原油・LNG調達リスク、さらには日本株の急落などが重なり、世間的には「それどころではない」タイミングでの発表となりました。

店主はシマノさんの内情を存じ上げませんが、同社のspecifications & technical documentsや問屋さん経由の情報を斜め読みした限り、R4000 TIAGRAのケーブルピッチはCUES(U6030等)と共通で、油圧ブレーキホースはSM‑BH59が標準になっていることから、もともとはCUESラインナップとして設計・開発されたものを、土壇場でTIAGRAへリネームして販売することになったのではないかと推察してます。おそらく、完成車メーカー側から「CUESブランドではロードバイクとして訴求しづらい」という声が上がったのではないかと考えられます。

CUESのドロップバー向け11速仕様はU6000系の1xのみで、ロード用途に必要な2x構成・クロスレシオ寄りのギアレンジが存在しませんでした。そのため、旧105(11速)の価格帯を埋める目的で、既存資産を流用しつつ最小限の追加投資で成立させたとみるのが妥当です。

宣材写真を見る限り、クランクセットは4800系からのキャリーオーバーで、11速対応のためアウターリングのみ新規に起こした構成、というかほぼFC‑RS510の化粧替えのよう。カセットスプロケットをLG規格ではなくHG規格とした理由は、重量面および変速時のダイレクト感を優先したためと推察されます。11速で11‑36Tを持つのは現状「CS‑RS400」のみであり、結果としてR4000専用の扱いになっています。スラント角の最適点から外れるため変速性能は若干低下しますが、「CS‑HG700/800 11‑34T」なら実用上は動作する可能性が高いかと。

TIAGRAはこれまでも規格改定の過渡期に位置づけられやすいグレードであり、リアディレイラー(RD)のケーブルピッチ(引き量)は世代ごとに異なる設計となっています。
  • 4700系/10速:7800系(10速)と同一ピッチ
  • 4800系/10速:9000系(11速)と同一ピッチ
  • R4000系/11速:CUES(ドロップバー用)と同一ピッチ
ちなみにフロントディレイラー(FD)は、過去のポストでも触れましたが、11s以降に導入されたロングアーム→トグルリンクでケーブルピッチに変更はなく、9000系以降の10/11/12s~CUESで共通と思われます。

13速化が見込まれる次期R9300系以降のDura‑Ace/Ultegra/105は、Di2のみの展開が濃厚。ワイヤ駆動式は、GRXの1x13のみが継続される形かと。また、12速以下のロード向けグループセットの住み分けは、下記のように整理できます。
  • 12速ワイヤ駆動:現行105/R7100系(9000系アーキテクチャ)
  • 11速ワイヤ駆動:新型TIAGRA/R4000系(CUESアーキテクチャ)
  • 10速以下ワイヤ駆動:CUES

※各パーツの詳細&セッティングに関するご質問は、当社ノウハウもございますのでご遠慮ください。

当店の完成車&ホイールの在庫リストは、https://www.avelotokyo.com/p/sale_11.htmlをご覧ください。

お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。

2026年2月27日金曜日

シマノ RD-R7100 / RD-R7150 / RD-R8150 リアディレイラー ガイド&テンション プーリー 比較と互換性

RDプーリー比較
左:RD-R8150用 Y3J198010 / 右:RD-R7150用 Y3HY98010
左:RD-R8150用 Y3J198010 / 右:RD-R7150用 Y3HY98010

上位モデルのアルテグラグレード「RD‑R8150」のプーリーは、ガイドおよびテンションプーリーともにミニチュアベアリング仕様になっています。ちなみにベアリング型番は、旧モデルから踏襲されている「ミネベアミツミ製・R‑1760X2DD」です。

一方、Di2・105グレードの「RD‑R7150」はドライブッシュ仕様ですが、手で回す限り滑らかさに両者に大差はありません。悪環境で走り続けるライダーなら、敢えてブッシュ仕様のプーリーを選択するのも一手かと。


REPAIR PARTS / TOOL | リペアパーツ シマノ純正工具 カタログより

仕様の違いや互換性をパーツリストで確認すると下記の通りとなり、プーリーに関して「RD-R7100 / R7150 / R8150」は互換性があることが分かります。ちなみに、ワイヤ式のRD-R7100の方が、Di2のR7150よりも上等なガイドプーリーが驕られています。

RD-R7100: Y3JU98030 / GプーリーのみシールドBRG.、R7150とA互換
RD-R7150: Y3HY98010 / G&Tプーリ共にドライブッシュ R8150とB互換
RD-R8150: Y3J198010 / G&Tプーリ共にシールドBRG.

余談ですが、シマノの「センタロン機構(ガイドプーリーに左右の遊びを持たせる機構)」は 主に10速世代のリアディレーラーまで採用され、歯間距離がタイトになった11速世代以降では廃止され、ガタのない(センタロン無しの)ガイドプーリーに変更されています。


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2026年2月24日火曜日

シマノ 105 Di2 FD-R7150 アウター スキッド プレート | Outer skid plate and snap ring 交換

シマノ 105 Di2 FD-R7150

チェーンのオーバーシュートを防ぐために、シマノ11速世代からワイヤ駆動FDに導入された、アウター→インナー変速時の2段モーション。Di2での動作をワイヤ式でも再現した機構で、店主は勝手に「寸止めアクション」と呼んでいます。

Di2仕様は、インナープレートにスキッドプレート無し

この時期のモデルから、ワイヤ駆動式FDのインナー側には、エンプラ製のスキッドプレートと呼ばれる交換可能なパーツが装備されるようになりました。一方、Di2仕様のFDは、羽根位置が電子制御で自動的に最適化されるためにスキッドプレートは配置されてきませんでした。

FD-R7150 アウタースキッドプレート

ただ、後発設計のためか、上位モデルと位置決め構造が異なるためか、はたまたアウター×トップ時の静音化なのか理由ははっきりしませんが、105グレードの「FD‑R7150」には、アウタースキッドプレートが装備されています。

同社製FD‑RX820などで見られる、羽根連結部に接着されていたプレートが脱着可能になって応用されたものとも捉えらえます。

アウタースキッドプレート取り外し
Y2K698010 / Outer skid plate and snap ring
左:旧  / 右:新

ちなみにこのアウタースキッドプレート。GRXシリーズの「FD-RX825」と共通化するためか?、流通するリペアパーツには凸処理が追加されています。インナースキッドプレート同様に消耗品ゆえ、FD変速がモタつくようでしたら交換されることをお勧めします。


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2026年2月16日月曜日

アルミニウム x カーボン / CFRP ガルバニック腐食 考察

アルミニウム製ディスクブレーキキャリパ腐食

メンテナンス等で入庫されるバイクで時々見られる現象がカーボンフレームに搭載されたディスクブレーキ・キャリパの腐食です。

アルミニウムの腐食は、主に「ピット腐食」と「ガルバニック腐食」のメカニズムによって進行します。目視レベルではハッキリしたことは言えませんが、アルマイト層に微細な亀裂から前者が起こり後者に移行するものと推測しています。
  • ピット腐食: アルミ表面の酸化膜に亀裂・欠損が発生して、そこから腐食が始まり、ピット状の小さな穴が形成される現象で、塩分が多い環境でよく見られます。
  • ガルバニック腐食: アルミが異種金属との接触が長期的に続くと、電位差が生じ腐食が進行。
アルミとカーボン(CFRP)が接触すると、カーボンがアルミよりも電位が高い(貴金属側)ため、電位差によって電気的な腐食反応が起こります。特にアルミニウムは電位が低いため腐食の影響を受けやすいとされます。 

対策としては、異種金属が直接接触しないようエンプラやフィルムを挟む、あるいは絶縁ペーストを塗布するといった方法が考えられます。ただし、キャリパ台座の平面度や直角度といった幾何公差の確保に加え、寸法的な制約もあるため実際には対応が難しく、タッチアップでお茶を濁すぐらいしかないのが現状です。

当店で「ディスクブレーキキャリパの台座を何でもかんでもフェーシングすれば良いわけではない」とお伝えしていることや、手組ホイールでアルミニウムニップルを避けたいと考えている理由の一つに、上記の腐食問題があります。

フロント・フラットマウント
リア・フラットマウント

メーカー側もこれら腐食問題は気が付いているようで、最近のカーボンフレームバイクを見ると、フラットマウント台座が文字通りの平面でなく凸処理されて接触面積を減らす工夫がされています。フェーシングのし易さを考えただけかもしれませんが…。

余談ですが、電食/電蝕(異種金属間腐食)自体は、自転車業界でも目新しいトピックではありません。例えば、シマノは電食防止のためXTRグレードのマグネシウム製キャリパーに対応したブレーキホースをラインナップしています。


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2026年2月12日木曜日

貴族のスポーツ化する自転車 特定小型原付に集約されるであろう 未来のパーソナルモビリティを占う

YADEA 表参道

「事実というものは、注意深く、ゆったり進行するものさ」。戦争や災害を除けば、一夜にして風景が変わることはなく、多くの物事はグラデーションを伴って徐々に変化していきます。携帯端末ひとつを例に取っても、公衆電話 → ポケベル → 携帯電話/PHS → スマートフォンと段階的に移行しており、その過程にはおおよそ10年ほどを要しています。

過去のポストでも触れましたが、店主は2018年頃から、少子高齢化/都市部の居住環境/充電池のエネルギー高密度化等を理由に「2035〜2040年には、自転車は乗馬のように、限られた人が限られた場所で楽しむアクティビティになるだろう」と取引先や同業者に話していました。当時は否定的な意見が大半でしたが、最近では同じような考えを持つ人が増えてきました。

Covid‑19のパンデミックによって、リモートワークは10年前倒しで普及したと言われます。同様にサプライチェーンの棄損と供給の乱れ、先進各国のマネーサプライやロシアによるウクライナ侵攻に端を発する世界的なインフレ、そして円安を背景に自転車の価格は高騰しました。原因はどうあれ、期せずして店主の想定より短い時間軸で、自転車は手が届きにくいスポーツになってしまったのです。

一方、欧州市場を見ると、2010年代前半から都市部での移動手段としてE-BIKEを選ぶユーザーが増えています。決して安価ではないものの、利便性や走行性能が評価され、シェアを拡大してきました。

そんな欧州で主流となったE‑BIKEですが、日本国内では型式認定や販売価格、先行する電動アシスト自転車との差別化が高いハードルとなっており、ほとんど流通していないのが現状です。

なら純粋なペダルバイクは?となると、メインマーケットの欧州でもE-BIKEにシェアを奪われ、趣味性の高い乗り物として位置づけられる傾向に。その結果、量産効果が希薄になり価格が上昇しやすい土壌は以前から存在し、様々な要因が重なってパンデミック後に顕在化したと考えられます。油圧や電動を含む高性能化、上位モデルへの集約、材料費高騰、為替動向を考慮すると、価格上昇の流れは避けがたいでしょう。

工業製品である以上ヒエラルキーは存在しますが、自転車が高くて買えないと頭ごなしに卑下するのではなく、最新やハイエンドモデル、あるいは「何が何でも105以上」といった思想にとらわれず、各々に合った自転車を選んで楽しんでいただければと思います。

例えば、流通形態は異なるものの2008年に約3万円で購入できたiPhoneは、最新の17では約13万円になっています。それでも皆さんは上手い付き合い方を見つけているはずです。勿論、可処分所得を増やすというのが分かりやすい策なのですが。

MATE.BIKE TOKYO 青山本店

2018年頃、店主はパーソナルモビリティ(PMV)における自動ブレーキの導入はコスト面から難しいと考えていました。しかし、AIによる画像認識技術が急速に進化したことで、フロントカメラや360°カメラをベースにした自動ブレーキの実現可能性は高まっています。

また、特定小型原付で煩雑になりがちな歩道/車道の速度上限切替についても、GPSやビーコンに頼らずにカメラで歩道と車道を判別して自動的に速度上限を切り替える仕組みができそうです。

自動車の自動運転技術に関しては、ソフトバンクグループが出資したことでも知られる英・Wayveが挙げられます。高コストにつながる「HDマップ(高精度3次元地図)」や「LiDAR」不要で独自AIを用いて、20万円程で自動運転機能を付加させることが可能と発表しています。勿論、マーケティングハイプを考慮する必要はありますが…。

カメラを用いた「自動ブレーキ」と「速度上限の自動切替」を、自動車の自動運転技術から切り出すことで、低コストでの実装が可能になると推察します。衝突時の運動エネルギーは速度の二乗に比例するため慎重にならざるえませんが、現行の車道上限20km/hは実用性に乏しい面があります。

「自動ブレーキ+上限速度の自動切替の搭載」と「ヘルメット着用義務化」の二つを条件に、将来的に車道の制限速度を25km/h程度まで引き上げられる可能性が高いと考えます(例えば、特定小型原付一種/二種のような区分け)。

国内において現在の我々は、従来の自転車/電動アシスト自転車/E‑Bike/原付などが時間をかけて「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」へと集約される流れの入口に立っていると考えています。

2026年4月1日施行の改正道路交通法により、自転車の交通違反に対して「青切符(交通反則通告制度)」が導入されます。加えて、ヘルメット着用の「努力義務」から「完全義務化」へと移行する動きが進めば、手軽に使える生活の足(移動/送迎/荷役)として経済合理性から自転車を選んでいる多くのユーザーにとって、従来の法的な緩さや利便性が失われることになります。その結果、モーター付きのモビリティへ移行する流れが後押しされるでしょう。

一般財団法人日本自転車普及協会の常勤理事である栗村修氏も、インタビュー番組「サイ録ch〜あなたの自転車人生、教えて下さい〜」で同様の見解を示しています。特定小型原付を取り扱う自転車販売店も徐々に増えており、イエローハットがワイズロードを買収した理由の一つに、この動向を見据えた戦略があると考えられます。

余談になりますが、BEV+自動運転の普及が進めば、自動車はテレビなどの家電と同様にコモディティ化していくでしょう。運賃設定にもよりますが、都市部では自動運転タクシーが主流となり、マイカーはステイタスとしてごく一部が保有するものへと変化し、個人の所有率はさらに低下すると考えられます。もっとも、業界団体や規制の影響によって、こうした動きが各国より大きく遅れる可能性も否めません。

それを先取りするように米・テスラは、2026年初頭の決算発表で、従来の自動車メーカーから「自動運転(ロボタクシー)およびロボット企業」へと劇的な転換を打ち出しました。モデルS/Xは2026年半ばまでに生産終了、残るモデル3/Yも無人運転に焦点を当てたアップデートに移行。「ロードスター」のみを人間が運転する最後の新モデルとして、ブランドを象徴するフラッグシップの位置付けで生産される見込みです。激しい競争と新陳代謝の中でヒト・モノ・カネが自然に集まる米中企業と戦うのは容易ではないことを示唆しています。

トヨタ公式サイト:モビリティのテストコースToyota Woven Cityで、本日実証を開始より

近年のCES/台北ショー/上海ショー/EUROBIKE/Japan Mobility Showなどを見ると、世界各国の四輪・二輪メーカーやスタートアップがこぞって、シマノやボッシュといった従来の自転車向け主要サプライヤーに依存せずにE‑BIKEやE‑PMVの開発を進めていることが分かります。

過去の台北ショーで出展されていた「OOLO」にも触れましたが、店主は短距離向けのパーソナルモビリティ(PMV)は三輪型が有力だと以前から考えており、トヨタはウーブンシティで既に実証実験を開始しています。同社は「C+walk T」や「C+walk S」を既に上市しています。

また、Japan Mobility Show 2025では傘下のダイハツがコンセプトモデルながら、保育園/幼稚園送迎用の電動アシスト自転車からの置換をターゲットに「ママチャリの進化形」とした小型モビリティを発表しました。店主の記憶では、自動車メーカーがこの市場に言及するのは今回が初めてに近いと思われます。

短距離移動や高齢者向け、荷役・送迎用途では三輪型が、電動スクーターに近い二輪型も普及が進むと考えられますが、国内市場はトヨタなどの四輪・二輪メーカーと、電動スクーターで世界的シェアを持つ中国のYadeaやAimaらとの勢力争いになるでしょう。

パナソニック サイクルテック(PCT)も2025年末に「MU」を発表しており、自動運転時代のPMV開発を中期計画に沿って着実に進めているのが伺えます。椿本チエインは電動アシスト自転車「LA SI QUE」に続き、ICOMAと協業して「Full電動Cargo(仮称)」を公開しています。

余計なお世話ですが、東京中心部のように電車や地下鉄をはじめとする公共交通網が緻密に整備されたエリアでは、利用率が頭打ちになり、LUUPのような高機能サービスはバッテリー管理を含む運用コストが重荷となって事業継続が難しいと考えています。特定小型原付の普及と認知が進んだ後は、シェアサイクルは中国本土の都市部で広く使われているような、Meituan BikeやHellobikeと言った運用システムの殆どをスマホに依存したシンプルなペダルバイクへ回帰すると予想されます。

東洋経済オンライン:「トヨタ「ウーブン・シティ」現地取材で感じた違和感の正体はどこに?

さて、当サイトですが、本来リーチすべきエンドユーザーではなく輪界人に読まれている印象があり、ゴム業界でいう「加藤事務所」のようなポジションになりつつある自覚があります。内容が業界寄りに偏っているのは問題かもしれませんが、それはさておき、自戒を込めて次のように考えています。

「あくまでプレーヤーである以上、評論家的な立場にとどまり何もしないことは死に等しい。自由経済の中で悲観主義に囚われていては何も生み出せず、受け身になってしまう。適度なリスクを取り、自分で手綱を握って生きたいものだと…」。まぁ、そんなこんなで皆さまのご注文をお待ちしております。


※各パーツの詳細&セッティングに関するご質問は、当社ノウハウもございますのでご遠慮ください。

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2026年2月7日土曜日

Voluptas x Shimano CUES | ウォルプタース x シマノ キューズ 2x10s メカニカル Vブレーキ オリジナル スチール オールロードバイク 試作 セットアップ偏 #VBAR

Voluptas  | ウォルプタース
Vブレーキ(リニアプル) オリジナル スチール オールロードバイク
Shimano CUES 2x10s メカニカル セットアップ

当店オリジナルの「Voluptas / ウォルプタース Vブレーキ(リニアプル) オールロード」のコンセプトは、太いタイヤを許容でき、お持ちのちょっと旧いリムブレーキ・ロードバイクからパーツを移植して気軽に乗り出せること。輪行を含め、細かいことに気を遣わずに扱え、ピチピチのサイクリングジャージでも普段着でも様になる“カフェレーサー”を目指しています。

ちなみに各チューブは、軽快感を重視してオーバーサイズでなく標準外径のKAISEI 8630Rを選択。ダボ(アイレット)も最小構成で、ミニV想定なのでカンチ台座を備えるチェーンステーも薄肉にしています。
上記工程を経た試作バイクですが、今回はコンポーネント類のセットアップを進めます。フレーム構想段階では、ねじり剛性を確保するために「前後スルーアクスル+リムブレーキ」や、新作の自動変速「Q’AUTO(クォート)」、T47規格の採用も検討しました。

最終的には、ユーザー組み立て時の追加出費を抑えられるよう換装性を重視し、前後OLD/シートポスト径/BBなどはオーソドックスな規格を採用することに。既にロードバイクをお持ちのライダーであれば、「フレームフォークセット」と「ミニVブレーキ」のみを新たに用意すれば、ほとんどのパーツを流用できる見込みです。

余談ですが、先に述べた「前後スルーアクスル+リムブレーキ」は、東京サンエスさんも同じことを考えていて、新作「JFF T1-R1」では独自の「フロントフォーク/ロングリーチ・リムブレーキキャリパ/スルーアクスル・リムブレーキホイール」を揃えて、量産モデルでは狂気とも言えるフレームセットが2026年春に販売開始されるようです。

前置きが長くなりましたが、今回のデモバイクはシマノが耐久性/ロバスト性/補修性を重視した新機軸コンポーネント「CUES」でセットアップすることにしました。ちなみにドロップハンドルバー用 CUESの全体的な意匠や設計思想は、MTBコンポ寄りなのが読み取れます。

同製品は、「修理、組み合わせ、マッチングが簡単な、シマノの新しいオールインワングループセット。SHIMANO CUESは幅広い自転車スタイルに対応する新たなスタンダードとなります」を謳い近年に投入されました。

CUESの発表当時、フラットバーとドロップハンドル系に互換性が持たされると期待したのですが、ふたを開けるとグループ内で両者は分かれる形となっており、互換性を把握するのが難しいのが現状です。

ただ、大雑把に言うとRDのケーブルピッチは共通、FDは異なると言ったところかと。ご自身で部品を選定する際は、下記の「Technical Documents for CUES」等に目を通すことをお勧めします。




店主が知る限り、シマノ製STブラケットカバーの大半が厚さ1.8mmとなってますが、CUESは耐久性を重視してか2mmと厚めになっています。そのため、従来に比べて弾力あり、ブラケットに密着して浮き上がりが無く好印象です。

CUESの2x クランクセットとFDにおいて最大歯数は50/34tなので、それより大きい歯数構成を望む場合は、純粋なロード用を流用する形になるかと。FDのトグルリンク構造を眺める限り、ケーブルピッチは従来のロード11s用と互換がとれそうなので、ミニベロ等で大きなチェーンリングを使いたい場合は、FC-R7000やFD-R7000辺りをチャンポンで組み合わせて対処することになりそう。

シマノ製クランクの上位モデルは、スパイダーとチェーンリングを同社十八番の冷間鍛造を活かした立体的に加工することで、断面係数を稼いで剛性を確保しています。一方でCUESは、コスト制約からフラットなデザインですが、安っぽさがありません。上位にあたるリア10~11段モデルは、CNC処理も多用されてどことなくSRAMっぽい仕上がりです。

CUESにおいて、ワイヤ式ブレーキで2x構成を選択した場合は、リア最大段数は10sとなります。RDのケーブル受けが垂直近くとなっており、フルアウターでルーティングした場合でもワイヤが外側に出っ張らない設計でスッキリと仕上げられます。

機構的制約や効率も考える必要があるので、起たせれば良いもんじゃないことは理解していますが、従来のロード系シャドーRDは、アウタ受けの角度が45°程度と寝ており、柔軟性があるOT-RS900を使わないとはみ出しが気になっていました。

CUES 2Xはチェーンライン他の設計値を読み解くと、ディスクブレーキ前提と言うこともあり、下記の通りOLD135or142に最適化されてます。なお、「Voluptas Vブレーキ オールロード (VBAR)」のOLDは、従来の100/130mmを踏襲してますが問題なく動作します。

CUES ロード2X 仕様
チェーンライン (mm): 47
O.L.D.:スルー (mm): 142、内部/外部タイプ: 135

シマノが想定するロード系コンポの想定チェーンラインは、R9200世代:44.5mm、R9100世代:43.5mm、GRX 2X:46.9mmなので、CUESはGRX設計値に準拠しているのが伺えます。

DIA-COMPE | ダイアコンペ BA85EX
DIA-COMPE | ダイアコンペ BA85EX

試作車では、新作カーボンリムを選択したので、「ミニV(=コンパクトV・ショートリーチV)」は、カートリッジ式シューを備える上位モデルの「DIA-COMPE | ダイアコンペ BA85EX」を選択せざる得ませんでした。

アルミリムなら、エントリーグレードの「TEKTRO RX1 Mini-V Brake BR-TK-M046」辺りにすればコストはグッと抑えられます。また、カーボンリムになった際は、あとからブレーキシューのみをカートリッジ式の「DIA-COMPE 980EX-PAD」に交換されるのも一手です。

サドル:fabric

サドルは、業界人でも隠れた愛用者が多い「fabric。Canonndale ブランドに統合されて一度消滅しましたが、2025年後半頃から本国サイトでリブートの動きが見られて、日本にも2026年から再上陸する運びに。

リアタイヤクリアランス
フロントタイヤクリアランス
リアタイヤクリアランス
フレーム側BBシェルとツライチになるBB-R9100

今回は、奇をてらわず素直にクランクセット含めてオール・CUESでセットアップしましたが、BBとチェーンのみオタク臭を匂わせてDura-Aceグレードを選択しています。耐久性もさることながらBB-R9100は外径が小さく、スチールフレームと組み合わせた場合にシェルとツライチになって、スッキリした外観を得られるのが理由です。
  1. ST-U3030-R 右レバー 10S
  2. ST-U3030-L 左レバー 2S
  3. FD-U6030-F BRZ 2x10S
  4. FC-U6040-2 170mm 50-34T 2x10S
  5. RD-U6020-10 10S
  6. CS-LG400-10 10S 11-39T
50/34T CL47でのチェーンリングクリアランス
DIA-COMPE | ダイアコンペ BA85EX
固定部を鑑みるとスイベルボルトを使いたくなります
シマノ CUESのポジション(公式サイトより)

CUESは、エントリー~ミドルグレードに該当する「Deore/Alivio/Acera/Altus」や「Tiagra/Sora/Claris」らを置き換えるポジションです。ただ、油圧ディスクブレーキ仕様で算盤を弾くと、それと同様なTiagraやGRX RX400シリーズよりも少し高くなる価格設定になります。この辺りがCUES搭載の完成車が増えない理由かとも。


2011-2012製作 Voluptas Di2インターナル ロードバイク

2014-2015製作 Voluptas ディスクブレーキ ロードバイク

さて、オリジナルの「Voluptas」は、これまで「Di2」や「ディスクブレーキ」といった新しいプラットフォームが発表されたタイミングでデモバイクを製作。前者はDi2専用設計でE‑Tubeを内装し、後者はポストマウント式キャリパーをフレームに直接固定するデザインを採用しています。いずれもメタルフレームにおいて世界に先駆けたアイデアを試すことで知見を得ることが出来ました。

反面、今作『Voluptas Vブレーキ オールロード』は一転して枯れた技術をベースに構想・設計しています。エアボリュームを確保できる太めのタイヤを装着でき、リムブレーキながら高い制動力も実現しています。ジオメトリはショートホイールベースでキビキビしたライドフィールを狙っており、運用のしやすさや整備性にも配慮したオールロードバイクに仕上がっています。

近年は自転車の高機能化・高性能化に伴い、車体価格が高騰しています。例えば、手持ちのリムブレーキバイクからディスクブレーキフレームへパーツを移植しようとすると、機械式ディスクブレーキを選んだとしてもフレームセットの他にホイール/ディスクブレーキキャリパー/ローターを揃える追加投資が必要になります。

厄介なのは、ある程度自転車を嗜んできたライダーだと、それなりのホイールセットやブレーキキャリパーを求めることでさらに投資額は膨らみ、結果として油圧ディスクブレーキのロードバイクを完成車で購入するのと大差なくなってしまう現実があります。

また、手元にあるリムブレーキ・ロードバイクを手放そうとしても、リセール価格が思いのほか低かったり、思い入れがあって手放しにくい方もいらっしゃるでしょう。であれば、ドライブトレーンなどのパーツをごっそり新フレームに移植し、肩の力を抜いたバイクとしてリビルドするのも良い選択肢ではないかと考えた次第です。

なお、価格やサイズ展開については、今しばらくお待ちください。「Voluptas Vブレーキ オールロードバイク」関連ポストは、#VBARをご覧ください。


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