2026年5月5日火曜日

シマノ ロード 12s HG リアスプロケット HGスプラインL 相性問題とウェービング現象

 Y0MV01000/Adhesive ring/CS-R9200 ロースペーサー/粘着リング

シマノ製ロード12sコンポーネントが普及しだした頃から散見するようになった「リアスプロケットがホイール軸方向に揺れるウェービング」。車体に装着したスプロケットを車体真上や真後ろから覗くとよくわかる現象です。シマノ11s以下のカセットスプロケット環境でも稀に見られましたが、12s世代になって遭遇することが増えました。

この症状を初めて見たときは、ロックリング&ナットの緩み/フリーボディや主軸の歪み(偏心)を疑いましたが該当しませんでした。ちなみに経験的に、DURA‑ACE R9200で採用される「HGスプラインL2」フリーボディとの組み合わせではこの現象に遭遇したことはありません。後者は流通量が少なく公平な比較にはなりませんが。

HGスプラインL2とコンパチ形状になった12sスプロケットの場合、従来型のHGスプラインLフリーボディとの組み合わせだとすき間が大きくはめ合いが緩いため、座面でスプロケットが斜めに固定されると影響が出やすいと当店は捉えています。

以前、スプロケットを回転方向のスプラインに押し付けて固定したりetcも試しましたが、結局は部品の状態に合わせて下記いずれかの方法で対応しています。シマノの公式見解は1番のアルミ製リングシール(リングシム)である「Y0MV01000/Adhesive ring (CS‑R9200 ロースペーサー/粘着リング)の貼り替え」ですが、現実にはそれですべてが解決するわけではありません。

1. Adhesive ringの貼り替え
2. Adhesive ringを剥がしてスプロケットを直に固定
3. Adhesive ringを2枚に重ね貼り
4. CS-7800他 10S用 ロースペーサ ー(t=1.0mm)1Z807000へ入れ替え

「ロード12s用 Y0MV01000/Adhesive ring」は厚み0.5mmなので、3番と4番の総厚みは同じになります。もちろん、スプロケットの原点位置は変わるので、RDの再セッティングは必要です。


CS‑M9100:Y1X401500 / Low spacer

「Adhesive ring(粘着リング)」は、MTB12Sコンポーネントのマイクロスプライン(MICRO SPLINE)」規格で最初に採用されたものを横展開したものです。その目的は、カセットスプロケットとフリーボディの共振(共鳴ノイズ)の抑制です。

そのマイクロスプライン用スプロケットに採用されたリングもポロリ&付け忘れ対策からか、早々に下記のようなマイナーチェンジを受けた経緯があります。

CS‑M9100:Y1X401500/Low spacer(取り外し可能)
CS‑M9101:Y0GX01500/Adhesive ring(接着式)

余談ですが、以前からユーザーにスプロケット共鳴が指摘されていたSRAMは、 “Stealth Rings” という防振エラストマーを採用しており、これはシマノの Adhesive ring と同様に “スプロケット間にシム/ダンパーを追加して異音・共鳴を抑える技術です。店主記憶が曖昧ですが、他社にも類似の発想はあったかと。

話をシマノの「Adhesive ring」に戻すと、MTBと1xグラベル用コンポで採用されるマイクロスプラインでは、スプロケット底が当たるフリーボディの座面がフラットで面積が大きく、スプライン勘合の遊びも少ないためか冒頭のウェービング現象は発生しません。

従来からあるスプライン規格の派生とも言えるロード用HG‑Lは、座面が狭く斜め(テーパー形状)でスプライン勘合が緩い上に、ホイールやハブの設計者が干渉回避や生産性を理由にハブボディをアレンジしているため形状にバラつきがあり、この問題の解決は一筋縄ではいきません。


※各パーツの詳細&セッティングに関するご質問は、当社ノウハウもございますのでご遠慮ください。

当店の完成車&ホイールの在庫リストは、https://www.avelotokyo.com/p/sale_11.htmlをご覧ください。

お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。

2026年5月4日月曜日

Cannondale SystemSix | キャノンデール システムシックス STレバー & バーテープ交換

Cannondale SystemSix | キャノンデール システムシックス

近年のエアロロードバイクのトレンドを牽引したアイコンとも言えるCannondale SystemSix(キャノンデール システムシックス)は、フレームからホイール、コックピットまでを一体最適化した実戦志向のエアロロードです。

風洞実験と実走データを基に空力を追求し、高速巡航や集団走行での省力化を実現します。登坂でも軽量モデルに迫る走りを見せ、KNØTホイールや内装配線など、実用性と空力を両立させた設計が特徴です。2026年現在でも、その空力特性は一線級のポジションを維持しています。

SystemSixは「Faster everywhere」を掲げ、フレーム・フォーク・シートポスト・バー・ステム・ホイールの6領域を一体で最適化することで空気抵抗を低減。総じて、SystemSixは「単なる見た目のエアロ」ではなく、科学的データと実走で裏付けられた実用的な空力性能を求めるレーサーやタイムトライアル志向のライダーに適したバイクと言えます。


こちらのCannondale SystemSixは、シマノ R8170 アルテグラでセットアップされた実践的な1台。直近のレースで落車されたとのことで、破損したSTレバーとバーテープ交換を承りました。


ベースバイク
Cannondale SystemSix | キャノンデール システムシックス

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2026年5月3日日曜日

自転車屋泣かせ E-BIKE システム エンジン & センサー 電気系トラブル

BOSCH E-BIKE エンジン

工数が読みにくく、自転車屋泣かせの代表格といえばメカニカル起因の異音追求ですが、近年はE-BIKEの電装系トラブルもそれに肩を並べる存在になってきました。

当店では主に BOSCH/SHIMANO/HyenaのE-BIKEシステムを搭載した車体に対応しています。各社専用の診断アプリケーションがあり、PCを接続してエラー履歴を吸い上げること自体は可能です。しかし、再現性のない症状となると、原因究明にはどうしても時間がかかります。

メーカー窓口やAIに問い合わせたり、英語圏のウェブ情報を漁っても得られるのは表面的な情報にとどまり、実際には機械と電気が複合的に関わっていたり、その車体特有の要因が絡んでいることが多いものです。結局のところ、最後は自分の知識と積み上げてきたノウハウに頼る、いわば「やれやれだぜ」とばかりの昭和的な営みに落ち着いてしまいます。昭和100年の今日、そんなことを思うのです。

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2026年5月2日土曜日

Cannondale Synapse Carbon 2 LE | キャノンデール シナプス カーボン 2 LE シマノ R7170系 105 Di2 搭載モデル メンテナンス

Cannondale Synapse Carbon 2 LE | キャノンデール シナプス カーボン 2 LE
カラー:Smoke Black / SBK / スモークブラック

当店で販売し、ツーリング用途でお使いいただいている『Cannondale Synapse Carbon 2 LE(キャノンデール シナプス カーボン 2 LE)』。足回りには当店で手組したカーボンホイール(リムハイト50mm)を装備しています。

この車体は、メンテナンス回数が抑えられるDi2+油圧ディスクブレーキ仕様。加えてオーナーはベテランライダーゆえ、日常的なメンテナンスはご自身で対応されているので、コラムカット含めて大掛かりな部分のみ手を入れさせていただきました。

オーソドックスな規格を採用したフレームをベースに、飛び道具的な軽量パーツは搭載していないため派手さはありません。一方、手堅い構成で組まれたこうした車体はトラブルが少なく、過度に気を遣わずに使える道具として優れています。

ベース車体
Cannondale Synapse Carbon 2 LE | キャノンデール シナプス カーボン 2 LE
カラー:Smoke Black / SBK / スモークブラック


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2026年5月1日金曜日

Cannondale Compact Neo / Quick-Park stem 90° rotatable | キャノンデール コンパクト ネオ / クイック パーク ステム スライド トップキャップ 交換修理

Cannondale Compact Neo / Quick-Park stem 90° rotatable
スライド トップキャップ 破損

スタイリッシュなミニベロ・E‑Bike「Cannondale Compact Neo|キャノンデール コンパクト ネオ」。往年の「HOOLIGAN/フーリガン」を彷彿とさせる十八番の“デルタVフレーム”により高剛性を実現しています。乗り降り時に前側からも足を通せる低めのスタンドオーバーハイトを確保しつつ、Cannondaleを象徴する軽量アルミフレームを採用することで、車体重量は約18kgに抑えられています。

そんな Compact Neo のオーナー様から、アクシデントによりステムのスライド・トップキャップを破損してしまったとのことで、修理のご相談をいただきました。トップキャップはあくまでフェールセーフの役割であり、固定そのものには支障ありませんが、見た目としてはどうしても残念な印象になってしまいます。

Quick Park Top Cap Lever w/ Spring

当店ではこのようなケースは初めてで、ディーラー向けのパーツリストを確認してもトップキャップ単体でバルーンは上がっておらず、ステムアッシーでの交換が必要になりそうでした。念のため窓口に問い合わせたところ、レバーとスプリング付きの補修部品を在庫しているとのことで、取り寄せて復旧することができました。

スライド トップキャップ 復旧後
Cannondale Compact Neo
Cannondale Compact Neo
ハンドルは、工具レスで90度回転して格納可能

なお、ハンドル格納機能を頻繁に使用するバイクでは、レバーを固定する2本のボルトが緩んでいることが多いため、再組立の際はロックタイト・高強度の塗布を推奨します。

余談ですが、『Quick‑Park stem 90° rotatable』の使い方や調整方法については、他ブランドの資料になりますが『Moustache Quick-Park(PDF)』が参考になるかと思います。


ベースバイク
Cannondale Compact Neo | キャノンデール コンパクト ネオ
カラー:Smoke Black/SBK/スモーク ブラック
フレームサイズ:OS (C-T350mm)


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2026年4月30日木曜日

Colnago Master MTB Art Decor | コルナゴ マスター 26インチ アルミフレーム ビンテージ MTB アートデコール 70mm ITA イタリアン規格 BB & オクタリンク Octalink コストを抑えながら復旧

Colnago Master MTB Art Decor | コルナゴ マスター 26インチ アルミ MTB アートデコ

右クランクが破損して不動になっている「Colnago Master MTB Art Decor(コルナゴ マスター MTB アートデコール)」の修理を承りました。26インチのアルミフレームで1990年代のビンテージMTBに該当する車体ですが、床の間バイクではなく、気軽な普段使いの街乗り用に復旧されたいとのことでした。

製造をGIANTに委託する前のフレームで、M900&950系のXTRを用いて組まれた本車体。大袈裟かもしれませんが、車で例えるならフェラーリの旧車250あたりでコンビニへ行く感覚なので、熱心なコレクターの方からすれば「おい!」とツッコミが入るかもしれません。

お話を伺ったとき、当時のCOLNAGOのMTBだと、もしやと警戒していましたが案の定、ボトムブラケット(BB)は70mm幅のITA(イタリアン)規格。さらにOctalinkという高いハードルが立ちはだかっていました。それでも、部品コストを抑えつつ何とか復旧させることができました。

トップチューブ:Art Decor
ステム:MODOLO
Before
ボトムブラケット:70mm ITA イタリアン規格 & オクタリンク Octalink V2 軸長118mm

当初はスクエアテーパーのBBに換えて、フロント3段でクランク周りを再構築することを考えましたが、イタリアンBBかつ軸長123mmという条件では、シマノもタンゲ精機も既に生産を終了。仕様が合うTAやPhil Wood製だと、BB部品代だけで4万円を超えてしまいます。

MTB用のホローテックIIにITA規格はないため、ロード用BBにスペーサーを追加してMTBクランクを取り付ける。あるいはTIAGRAやSORAのロード向けトリプルクランクを流用することも考えましたが、歯数50Tに合わせてFDクランプ位置を上げるとボトルケージ台座と干渉したり、歯先距離も広がる問題もあります。

いっそのことフロントシングル(1x)化して、ロード寄りのCUES「FC‑U6030‑1(CL50mm/42T)」に入れ替えることも考えましたが、XTRシフターがブレーキ一体式のため、できればそのまま残したいところ。

FC-M311 42X32X22T 170mm 8S/7S ガード無し Octalink V2

元のオクタリンク規格は20年以上前に廃止されているため、クランクの入手は諦めていましたが、奇跡的に問屋さんの在庫が1点見つかったので、エントリーグレードではありますがそれを使うことにしました。

確保したFC‑M311は7〜8速用ですが、贅沢は言ってられないし、街乗り用途であれば9速でも問題なく使えるだろうと。ただし、オクタリンクはシマノ独自規格だったこともあり、軸長が厳密に定められています。

古い資料を読み返すと、該当クランクセットの指定軸長は126mm。現状が118mmのため、チェーンラインは基準値より4mm内側に入る計算になります。結局のところフレームとの干渉などは、実際に組んで確認するしかありません。ちなみに生産継続しているBB-ES300 ITAの軸長は113&118mmのみで、126mmは展開がありません。

FC-M331 JAM防止爪
JAM防止爪をカットしてBB干渉回避

FC-M331は、インナーリング内側にチェーンが落ちたときのJAMを防ぐための4つの爪があります。BB軸長が短いことで、クランクが指定位置よりも内側に寄るのでその爪がBBに干渉したので、カット+端面タッチアップして対処しました。

Before:左クランク
左:FC-M331 / 右:FC-M751
Octalink セレーション比較
左:FC-M331 V2 深い  / 右:FC-M751 V1 浅い
左:FC-M331 / 右:FC-M751

おさらいすると。オクタリンク規格はやや分かりにくいのですが、V1とV2の2種類が存在し、セレーションの幅と深さが異なるため両者に互換性はありません。今回のクランク交換により、BBを含めてV2規格に整合しました。

V1クランクはV2のBBに物理的に挿入できてしまいますが、ガタつきが生じ、強度が確保できないため、絶対に避けるべき組み合わせです。今回の右クランク破損もその影響であると考えられます。
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2026年4月29日水曜日

シマノ リペアパーツ ゴムシール Y41612000 | Shimano Rubber Seal PD‑M730 / PD‑M731 / PD‑M650 / PD‑M505 / PD‑M535 / PD‑M323 / PD‑M324 旧型ペダルにも適用可

Shimano SPD PD‑M535 & ゴムシール(Rubber Seal) Y41612000

シマノのリペアパーツ 「ゴムシール / Y41612000」を取り寄せて、SPDペダル PD‑M535を修理しました。このリング状のゴムシールは、PD‑M324・PD‑M535 以外にも複数の旧フラット&SPDペダルに“完全互換(Aマッチ)” として適用できます。

Y41612000 ラバーシール 対応しているペダル一覧
Shimano Deore XT PD‑M730 
Shimano Deore XT PD‑M731
Shimano Deore DX PD‑M650 
Shimano SPD PD‑M505 
Shimano SPD PD‑M535
Shimano SPD PD‑M323 
Shimano SPD PD‑M324

これら旧世代ペダルの多くで共通化されているため、同シールは軸ユニット構造が同系統のモデルでは広く使用されています。1980年代に発売されたフラットペダルである XT PD‑M730/M731 や DX PD‑M650 も含まれるため、ビンテージMTBのレストアにも活用できます。

ゴムシール:Y41612000
Shimano SPD PD‑M535
ゴムシール欠損状態
キャップを外し、ナットを緩めてスピンドルを抜くのが交換セオリー

ゴムシールの弾性を維持するには、ペダルボディ側のキャップを外し、スピンドルを抜いてから順番に組み戻すのが正しい手順です。ただ、グリスアップや予圧調整が不要で、作業を簡略化したいときはクランク側から挿入することもできます。その際は、ラバーシールのリップがハウジングに正しく収まるよう注意してください。

ゴムシール:Y41612000
ゴムシール:Y41612000
ゴムシール復旧後

製品寿命の短さが指摘される今日にあっても、40年近くリペアパーツの供給が続いてきた背景には、SPDペダル PD‑M324 が20年以上のロングセラーとして生産されてきたことがあります。しかし、その PD‑M324 もそろそろ生産終了になりそうな気配なので、このゴムシールも近い将来入手が難しくなる可能性があります。

また、この Y41612000 は部品の大半が露出している構造上、耐候性に乏しく、クラックが入りやすい点が難点です。汎用Oリングを組み合わせて代用する方法も考えられますが、外観を含めて入手できるうちは、純正パーツで修復しておきたいところです。


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