| シマノ ICE TECHNOLOGIES FREEZA ディスクブレーキ・ローター |
シマノ製のディスクブレーキでは、小さなローター径&キャリパの厳しい条件下でも、フェードやベーパーロック現象を起こさぬよう放熱を確保するため、Advanced・グレードは、拡散接合によるステンレスでアルミをサンドウィッチしたICE TECHNOLOGIESを。さらに上位のUltimate・グレードは、アルミ部を延長して放熱フィンにしたICE TECHNOLOGIES FREEZAを採用してます。
このステンレスとアルミの利点を組み合わせた複合材は、住友金属直江津(現在は日本製鉄傘下)が開発・製造する「3層クラッド鋼板」を用いられていることが知られています。この特殊鋼板は異種金属を積層し、加熱した状態で圧延することで強固な接合を実現する「温間圧延接合法(ロールボンディング)」で量産されてます。
厳密には高温拡散接合(長時間の固相拡散)ではなく、塑性変形による酸化膜破壊と金属間の機械的・金属学的接合と言えます。クラッド厚鋼板は資料を見ると工程は異なりますが、学術レベルでは、実用化が期待される核融合炉の構造体への応用も研究されています。
- 素材:母材としてアルミニウム、外層にはステンレス鋼やチタンなど。
- 加熱:素材を均一に加熱するため、直接通電方式の加熱装置を使用。
- 温間圧延(ロールボンディング):加熱後、所定の圧下で塑性変形させ、酸化膜を破壊して金属同士を接触・接合、広幅のクラッドコイルを形成。
- 巻取:単一工程でクラッドコイルを製造し、最終製品として仕上げる。
新潟県上越市にある日本製鉄株式会社 東日本製鉄所 直江津地区は、高品質なステンレス鋼やチタン製品(TranTixxiiなど)を製造する拠点であり、その技術力は建築材/自動車部品/スポーツ用品などで利用されています。シマノでは、上記3層クラッドローターの他にチタン製スプロケットも同工場で生産された鋼板を採用しているようです。
| シマノ RT-CL900 |
この歪みを抑えるには高度な設計が不可欠であり、当時は「ステンレス一枚物のほうが素直なのではないか」とも考えていました。実際、その後にロード専用として登場した初代ローター「SM‑RT900」は、巻き込み対策など新要素を盛り込んだこともあって、ロバスト性が十分とは言えなかったというのが正直なところです。
ただ、その後のエンジニアの奮闘により、リーク情報では 初代SM‑RT900を基準に、RT‑MT900で変位量が約1/2、現行RT‑CL900では約 1/5 にまで低減されているとされ、実際にその進化を実感できます。
しかし、同じ速度域でも回転数が高くなる小径車や、ハードなライディング、体格の良いライダーでは、ダウンヒルでのロータータッチは依然として発生します。特にローター摩耗が進んで薄くなると、熱膨張を抑えるバランスが崩れ、シャンシャン音が出やすくなる傾向に。もちろん、平温時の平面度をどこまで追い込んでいるかにも左右されます。
シマノ製ローターは初期厚が t=1.8mm、摩耗限界が1.5mm に設定されていますが、経験的には アイステック仕様は 1.65mm を下回ると板金補正が難しく、ロータータッチも出やすいように感じています。
また、母材がアルミである以上、外力に弱く変形しやすい点は避けられません。そのため、輪行や車載が多い方には、ブレーキタッチの好みはあるものの、当店では剛性の高いステンレスローターを推奨しています。

