2025年8月6日水曜日

ENGEL victory 180 + fluidmelt 射出成形機 | EUROBIKE 2025 出張記

ENGEL ブース

2025年6月下旬、ドイツ・フランクフルトで開催された「EUROBIKE 2025」へ出張してまいりました。射出成形機の世界的リーダーの「ENGEL」社は、CANYON向けに開発したハンドルバー製造用の新型射出成形機「victory 180」を発表、デモンストレーションも行いました。ガラス繊維強化ポリアミド6を用いたハンドルバーに関しては、サイクルタイム1分で成形可能とのこと。

「fluidmelt」と呼ばれる成形中に水または窒素で溶融樹脂のコアを排出し、中空構造を形成する独自技術により、軽量かつ高剛性な部品製造が可能になってます。さらに、単純な射出成形に留まらず、工程内でUDカーボンファイバーテープで補強が施されています。

テスラが導入した「ギガキャスト/Idra社 Giga Press」と似たゲームチェンジャーとも言え、「igus」や「CARBOTRONICS」の動向や、E-BIKEとの相性の良さを考えると、数年後には、「射出成形」や「CF-SMC+ラミネートの複合構造」のフレームも流通しそうです。

ENGEL victory 180
ENGEL victory 180

軽量化や高弾性といった機材性能に特化したラミネート製法によるカーボンフレームに置き換えるには至らないものの、アルミフレームからの代替としては、十分に現実味を帯びてきています。

ブロック経済/関税対策/地政学的リスクの回避を背景に、組立工程を欧州へ回帰させる動きが加速しています。ただし、フレーム製造については依然としてハードルが高く、現在も中国や台湾で生産したものを輸送しているのが実情です。

将来的に射出成形機によるフレーム製造が可能になれば、生産量に応じてジャストインタイムで成形できるという利点が期待されます。この点に関しては、ENGEL社も“セル”という言葉で柔軟な生産ユニットの概念を提唱しています。



近年、3Dプリンタの性能向上と普及により、従来は大型かつ高価な金型や専用装置を必要とした射出成形が不可欠だった製品でも、比較的小型の商品であれば、試作段階を超えて最終製品の量産に3Dプリントを活用するケースが増えつつあります。

このような製造形態では、安価なコンシューマー向け3Dプリンタを多数同時稼働させることで、サイクルタイムの長さという弱点を補う工夫がなされています。さらに、必要な生産量に応じてプリンタの台数を柔軟に調整できる点も、従来の射出成形にはない利点といえるでしょう。

こうした流れを踏まえて、射出成形機メーカーも新たな技術・製品開発が迫られているとも捉えられます。


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