ご存じの方も多いと思いますが、シマノさんからのアナウンスがあり、同社が2019年6月30日以前に製造したロードバイク用リア11段変速対応ホローテックIIクランクの接着部が剥がれ、隙間や段差が発生する可能性があるとして、無償点検プログラムを実施します。
詳細は、シマノ公式サイト「お客様への無償点検プログラムに関する重要なお知らせ」をご覧ください。
インサイダー株取引を警戒してか、当店レベルには事前情報はありませんでしたし、窓口業務を担うシマノセールスさんも既に疲労困憊で、諸々見切り発車の状況です。当店も上記プログラムの点検協力店となっておりますが、ワンオペ&狭小店舗のため下記をご留意下さい。
- 事前にご来店予定をメールで擦り合わせ頂き、入庫&点検でお願いします。
- 保管スペースの都合で、点検を通じてクランク交換になった際、車体一度お戻しして部品到着後に再入庫の流れとなります。
- クランク点検&交換に伴って、FD/チェーン/RD/ワイヤ等の調整&交換が必要な場合は、別途費用がお客様に発生します。
以下は、店主戯言です。他店メカニックからも漏れ伝わっていると思いますが、シマノさんから指示されている確認手順は、公開動画に沿った方法に過ぎず、エンドユーザーさんがチェックするのと何ら変わりがありません。
そもそも、接着界面剥がれの初期段階において、無負荷で目視チェックできるのでしょうか?。X線や超音波測定とまでは言いませんが、定量評価には「クランクに静定格荷重を掛けて、たわみ(変位)を測定」する必要があるかと。パワーメーターで、ひずみケージを取付する際のキャリブレーションと同様の方法です。
シマノさんは、不良率他を勘案した高度な経営判断を踏まえて、日本国内はリコールでは無く「無償点検プログラム(≒サービスキャンペーン)」で推し進められているのでしょうから、せめて測定治具を対応店舗に配布すべきなんじゃないかと。
ただ、そんな治工具準備とクランク全交換の費用を天秤に掛けても、詰まるところモヤっとした感は拭えず、シマノさんが腹をくくってマルっと「無条件全交換」で対応してほしいというのが、業界末席にいる店主の本音ですし、ユーザーさんも同じかと。
既報の170億円特損も、リコール保険を充当すれば経営ダメージは軽微と推測しますが、その枠も使い切っているのかもしれません。零細当社が天下のシマノさんへ物申すのは甚だおこがましいですが、川上でちゃんとレールを敷いてくれないと現場対応で生産性が損なわれます。まあ、こんなことを書くと、取引停止になるかもしれませんが…。
一方、本件に限らず、どんな事業でも予期しない不良や問題は避けられませんし、複雑高度化が進む商品やサービスは尚更です。フィードバックを受けて、試作&量産品の評価項目や試験方法が増えて大変でしょうが、モノづくりに関わるエンジニアが委縮せず、新しいアイデアや技術にチャレンジし続けて欲しいと願ってます。
お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。