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| 株式会社シマノ コーポレート YOUTUBEより |
近年では、国内企業でもマーケティング施策の一環としてオウンドメディアを公開する例が増えてきました。その中でも、明らかに別格の存在感を放っているのが、トヨタ自動車の「トヨタイムズ」です。制作体制や投下されているコストを見ても、他社のオウンドメディアとは一線を画しています。
背景として、当時の豊田章男氏が日経新聞のネガティブな報道姿勢に強い不満を抱いていたことが知られています。こうした報道への違和感が、「自社のニュースは自社で伝える」という発想につながり、トヨタイムズ創設の一因になったと報じられています。
そこまで大規模ではありませんが、シマノも採用活動などを目的に、コーポレート動画を中心とした自社メディアを公開しています。
長らく製造業の内部は秘密主義が強く、工場見学会のような限られた機会でなければ、生産ラインの設備配置やサイクルタイム/タクトタイムといった情報を得ることは困難でした。しかし近年は、自社ブランディングの一環として、工場内や製造現場の様子を動画で公開する企業が増えています。
もっとも、コア技術については特許を含め厳格に秘匿すべき領域であり、シマノは現在もその多くをベールに包んだまま、外部から詳細を伺うことはできません。
大阪・堺にある本社工場(Sakai Intelligent Plant/SIP)は、自動化・無人化が高度に進んでいることで知られています。しかし、同工場の見学は大手完成車ブランドなど限られた関係者に限定され、写真撮影も禁止されています。公開されているのはプレス向けの定型的な写真のみで、内部の実態はほとんど明らかになっていません。
同社の強みは古くから生産技術にあると言われており、そうした背景を踏まえると、今回のような製造工程の動画公開は非常に珍しい取り組みです。
公開された3D-CAD画面を見る限り、ロボット、パーツフィーダー、アルミ押出フレームを組み合わせたセル型に近い設備構成が採用されていることが分かります。さらに、設備の据え付けはアンカー固定ではなくレベラー脚仕様となっており、レイアウト変更に柔軟に対応できる設計思想が読み取れます。
シマノは、有線時代の初代 Di2 の頃から、フィールドテスト含めて電動コンポーネントのノイズ対策、シールド設計、誤動作防止に徹底して取り組んできたメーカーとして知られています。同社ほどの大規模な電波暗室を保有している自転車パーツメーカーは、ほとんど存在しないのではないかと思われます。
同社が東京・日本橋にオフィスを構えていることは以前から知っていましたが、当初は窓口業務や広報、バックオフィス的な機能が中心だと考えていました。しかし、実際には想像以上に大規模であり、少なからず驚かされました。南海トラフ地震を念頭に置いた事業継続計画(BCP)の観点から、本社機能の分散化やバックアップ拠点としての役割も視野に入れているのではないかと推察されます。
一方で、電気系・ソフトウェア系のエンジニアの一部が東京オフィスに勤務していることから、同社が求める高度な技術者を確保するうえで、大阪・堺本社だけでは地理的に採用面で不利な側面があることも伺えます。首都圏に拠点を置くことで、採用力の強化と人材確保の柔軟性を高めているのでしょう。
1990年代には、製品企画部主査だった神保氏がメディア取材に応じることが多く、開発者の顔が外部に見える時代がありました。しかしその後、同社は製品開発に携わった人物を積極的に表に出さない方針へと転じ、960系 XTR エクステリアデザイナーが紹介されるぐらいで長らく露出を控える傾向が続いていました。
背景には、属人的ではない組織運営や仕組みづくりを重視する企業理念、そしてヘッドハンティング対策といった理由が挙げられます。ただし後者については、技術者の特定を完全に避けることは難しく、特許情報を丹念に追えばある程度の人物像は把握できてしまうのも事実です。そんなことを踏まえてか近年は、再び開発担当者がメディアに登場する場面が増えています。
