密閉式ゆえ、クルマよりも面倒な側面がある自転車の油圧ディスクブレーキ。シマノ・ロードバイク用ディスクブレーキの遍歴は、ST側の設計思想として大まかに下記4世代に分類できます。
「ST-R785/ST-RS685」→「ST-RS505」→「ST-R9120他」→「ST-R9270/ST-R8170/ST-R7170」
12s化共に刷新された最新の「R9200世代」はトピックとして、「パッドクリアランス拡大によるロータータッチ抑制」や「握り易いSTレバー」が挙げられていますが、メカニック目線では「マニュアル通りセットアップ」すれば、総じて「ブレーキレバー引き底のカッチリ感が得られる」のが最大のメリットと捉えています。
第3世代まではMTB共通のシリンダ容量でしたが、今作では互換性を犠牲にしつつも見直しにより各要素が最適化された成果かと。例えば、前作のR9100世代は、小型軽量化に注力され、マスタシリンダ構造変更やエンプラ多用のせいかレバー側が少々頼りなく、ブリーディングしてもキャリパ動作の個体差も吸収できないのが実情でした。
当店ではこれまで対策として、状況に応じてフルードを多めに封入してレバータッチを確保してきました。SM-BH59ホースの初代ST-R785/ST-RS685から続く伝統芸とも言えます。この手は、R9100世代STレバー×R9200世代キャリパーを組み合わせた際のレバーフィール改善にも応用できます(当店では、この組合せを積極的には推奨していません)。
勿論、やり過ぎるとダイヤフラム一体のガスケットに過剰圧が掛かりフルードが漏れたり、最悪はダイヤフラムが破損して要交換になるので、構造を理解している方にしかお勧めできません。さらに、初期位置出しは原則パッド&ローター共に新品時のみですし、気圧&体積変化や部品交換におけるロバスト性が損なわれるデメリットもあります。
現行の「R9200世代」ディスクブレーキは、改良により上記のような面倒な職人技無しで、辛酸を嘗めることなくレバータッチを確保しやすいのが特徴です。まあ、ケースバイケースと言うのは依然として残っていますが。
※各パーツの詳細&セッティングに関するご質問は、当社ノウハウもございますのでご遠慮ください。
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