RD-R8050-SS / 11-32T リアスプロケット |
ワイドレシオ「11-32T」と「11-34T」は、マニュアルに従えばロングケージGSを使うべきなのは百も承知です。カタログ仕様が「最大ロースプロケット:30T」の「シマノ ULTEGRA シマノ アルテグラ ショートケージ DI2 リアディレイラー 11スピード RD-R8050-SS」にて、それを超える「11-32T リアスプロケット」が使えるか実験してみました。
事の発端は、テストバイクのチェーン&スプロケ共に摩耗が進んで入りが悪くなったので、部品交換することに。元々、リアはクロスレシオを意識して12-28Tでしたが、これを機にワイドレシオ化したいと考えた次第。ただ、手元にある使いかけのスプロケットは「11-32T」しかありません。
RDのプーリー軸間距離とスラント角を現物トレースしてCADに落とし込めば、おおよそ机上で分かることですが、現物でやった方が早いので試してみることに。当初は、マージン持たせているだろうし、Di2ゆえインナー×トップ2枚はソフト的にブロックされているので簡単なんじゃない?と甘く見ていましたが、思いのほか調整域は狭めでした。
アウター×ローだと、プーリーケージ角度はきつめ |
結論を先に書くと、「32Tローには何とか乗っかり、フロント歯数差が13~14Tならギリギリ実用域」と言ったところ。シビアなセッティングも要求されるので、決して万人にお勧めしません。勿論、チェーンライン/リアセンター長/RDハンガー形状の影響も受けるので、あくまでご参考まで。
テスト条件は、下記のとおり。ちなみに、この車体のフロントチェーンリングは、130PCD(=BCD)規格で、インナーに社外品の38Tを装備してます。標準の52/39なら、歯数差が小さくなるのでセッティングに少し余裕が生まれるかもしれません。
フロント:52/38T(PCD130)変更無
リア:12-28T(11s)→ 11-32T(11s)
カタログ仕様---テスト値
最大フロントギア歯数差 16T --- 14T OK
最大ロースプロケット 30T --- 32T NG
トータルキャパシティ 33T --- 35T NG
チェーン長は、「チェーンをリアの最大スプロケットとフロントの最大チェーンリングにかけます。その後、チェーンに1 ~ 3リンクを加えた長さにセットします。」なのがマニュアル文言。アウター×ロー時のプーリーケージ角度を少しでも和らげようと、+2リンクから試しましたが、インナー×トップ側でチェーン弛みが吸収できません。
そりゃ、エンドアジャストボルト(≒Bテンションボルト)を回して後方へ張れば、チェーンテンションを確保できますが、スプロケ-ガイドプーリー距離が離れて変速性が著しく損なわれます。「Wolf Tooth・ROADLINK DM」等を使ってRD距離を稼いだ場合も同様かと。
結局、今回は+1リンクで微調整を加えて実用域を確保することが出来ました。ただ、アウター×ローでケージ角度はパツンパツンで余裕がありません。更に、フロントが52/36、50/34、52/34等で歯数差が大きかったり、楕円チェーンリングを用いるとインナー時のチェーン弛みは吸収できなそうです。
最後に余談を。昔は、摩耗が考慮されてチェーンリング歯数は奇数が原則でしたが、コンパクトが標準になった頃からその縛りが無くなりました。
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