2023年8月19日土曜日

Panasonic XEALT M5/S5/L3 | パナソニック ゼオルト エムファイブ/エスファイブ/エルスリー E-Bike 電動アシスト自転車 試乗してきました

XEALT S5(ゼオルト エスファイブ)/e-クロスバイク/Sport Utility Bike
XEALT M5(ゼオルト エムファイブ)/ e-MOUNTAINBIKE
 XEALT L3(ゼオルト エルスリー)/ライトスポーツバイク

2023年夏、XEALTシリーズは「M5/S5/L3」の3モデル展開になりました。少し前の話になりますが、2023年6月初旬にパナソニックサイクルテックさん主催の販売店向けE-BIKE展示試乗会へお邪魔してきました。主目的は、新型モデル「XEALT S5(ゼオルト エスファイブ)」のチェックですが、自由に走って良いとのことだったので、上記3台をじっくり乗り比べることが出来ました。

E-マウンテンバイクの「M5」は、パッケージとしてはそつなくまとめていながら、国内市場向けゆえの650B(=27.5)ホイール装備なのが一因かもしれませんが、ジオメトリの古さが拭えない感。エントリーユーザーなら気にならないかもしれませんが、店主意見としては「スラック・ジオメトリ」採用待ちかなと。

新型フレーム採用で注目の「S5」ですが、街乗り&ツーリング用途なら、選んで間違いのないE-Bikeの一台かと。細かい気になる点はありましたが、店舗での整備時に解消出来るところもあり、「前後フルフェンダー/リアラック/キックスタンド/給電式LEDライト」が標準装備ということもあって、総じて価格競争力が高いモデルです。

モータは、GX Ultimateベースに日本向けにチューニングした2.95kgと軽量な「GXドライブユニット」を搭載して最大トルク90Nmを発生。この「S5」の漕ぎだしがトルクフルだったので、制御系エンジニアに確認しましたが、「車輪周長やギア比は考慮されているもののMTB「M5」と同じアシスト特性にしている」とのことで頷けました。

L3」は、従来のジェッターをベースにしながらE-Bikeに寄せた味付けが施されたエントリーモデル。20万円以下と価格的ハードルを低めですが、前後スルーアクスル仕様で価格が2倍の上位「S5」と比較するのは酷ですが、乗り味は一世代前の感が拭えません。

ママチャリからのステップアップとして、L3を選ぶなら不満は出にくいでしょうが、20万円以上のロードバイク等スポーツバイクを嗜んだ方だと、物足りなくなると想像できるので、そういうライダーには上位の「S5」や、Cannondale「Quick Neo」や「Topstone Neo 5」を当店ではお勧めします。
会場:熊谷スポーツホテル PARK WING
初夏の晴天で試乗日和
路線バス本数が少なく1時間待ちだったので、
運動不足解消を兼ねて帰りは会場→熊谷駅まで徒歩移動


さて、最後に自転車オタク&元FAメカトロ・エンジニアの店主目線で余談を書くと…。

パナソニックサイクルテック(以下PCT)さんは、国内の電動アシスト自転車に限れば、市場シェアで頭一つ抜けている状況です。E-Bikeの基幹部品であるモーターとバッテリー、さらにフレーム製造と組立工程を同社グループで内製できるのが強み。ここ数年、PCTは工場設備投資を行っておりますが、積極的な投資は継続する模様です。

今の製造業の流れを鑑みると、垂直統合が必ずしも絶対解ではありませんし、多分な政治力も必要ですが、EU市場に進出できるならPCTはE-Bike市場で稀有なポジションになれる可能性があります。

バッテリーに関して振り返ると、PCT製電動アシスト自転車は、2010年代初頭までNECトーキン製でした。対するBSCとヤマハは、同時期まで三洋電機からバッテリー供給を受けていました。パナソニックが三洋電機を子会社化するタイミングで潮目が変わり、パナは自社系列のパナソニック エナジー製を採用、ライバル2社はSamsungやLGをサプライヤに加えた歴史があります。

店主が想像する15-20年後の電動パーソナルモビリティ(E-PMV)まで視野を広げると、PCTは自動運転カーとの共存を見据えた中長期戦略が伺えます。E-PMVで将来的に搭載が義務化されるだろう自動ブレーキも、パナソニック オートモーティブが自動車分野で既に上市してますし、SUNX(サンクス)系の汎用制御&センサー類も保有してます。ちなみに、シマノ・Di2は2線式の直流PLC(Power Line Communication)ですが、車載用HD-PLC/CAN Bus Systemがベースのようです。

クルマ業界からの参入が見込まれるE-Bike含むE-PMV市場で、PCTは自転車メーカーとして対抗できる数少ないプレイヤーとも言えますが、一方でグループ内でいくらアセットを揃えても、事業体ごとの縦割り意識が強くなると機能しません。正解のない組織論ですが、パナソニックグループもカンパニー制→事業会社制へと移行しており、この辺りが吉と出るか凶と出るかと言ったところかと…。

お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。