2025年12月8日月曜日

Specialized Roval Rapide CLX III ホイール前後 誤装着 広告騒動 について考える

Everything You Thought You Knew About Wheels Was Wrong
Specialized Bicyclesから

先日、『あなたが知っていたホイールに関するすべては間違っていた』というコピーと共に、スペシャライズド社の新しいホイールセット『Roval Rapide CLX III』を紹介する広告が公開されました。従来の常識を覆し、フロントに51mm、リアに48mmという異なるリムハイトを採用することで、最高の空力性能・加速性能・ハンドリングを実現した、同社史上最速のオールラウンド・レースホイールセットだと主張しています。

BIKE MAG」でも取り上げられていますが、この広告は、ロードバイクに装着されたホイールが前後で入れ替わっているとして騒ぎになっているようです。掲載された写真は「誤装着」ではなく、むしろ新しいホイール設計思想を訴求する意図的なもの。前輪を高リム、後輪を低リムにするのは同社が公式に打ち出した“新常識”とされ、騒ぎは誤解から生じています。

それより気になったのは、PR TIMESでも掲載されている「Roval開発チームは、従来の『リムハイトはリアが高い方が速い』という常識を覆し、空力性能の90%がフロントホイールに依存することを突き止めました」というくだりです。

店主が知る限り、ディープリム/バトンホイール/ディスクホイールが流通し始めた30年以上前から、後輪はペダリング等による乱流環境(気流の剥離が起こり、後方に大きな低圧領域が形成)にあるため、リムハイトを高くしても空力的メリットは小さく、「前輪の空力が支配的」と知られていました。なので、何を今さら――というのが本音です。CFDと風洞実験でちゃんと検証しましたよってことなんでしょうけど…。

そんな前提に反してリムハイト構成が長年「前低/後高」だったのは、主に「横風に対する操安性と駆動剛性の確保」と「サイドビューの印象」が理由として挙げられます。特に後者は、自動車デザインにおけるプレスラインやフェンダー形状、ABCピラーの厚みなどと同様の“お作法”に通じるものです。さらに後輪側にボリュームを持たせることで、速く走るチーターなど動物の発達した後脚を、ユーザーの潜在意識に想起させる効果があったかと。

一方で近年、リムのワイド化が進み、従来のV字形状ではなくU字型や樽型へと遷移したことで、横風の影響は以前より抑えられるように。今後は「前高/後低」が徐々に業界標準になっていく可能性も十分に考えられます。

※各パーツの詳細&セッティングに関するご質問は、当社ノウハウもございますのでご遠慮ください。

当店の完成車&ホイールの在庫リストは、https://www.avelotokyo.com/p/sale_11.htmlをご覧ください。

お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。