2018年1月23日火曜日

徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える


店頭ドロップハンドル車体の半数がディスクブレーキ搭載だったり、ロードバイク用の油圧ディスクブレーキの供給が始まった初期にオリジナルのテストバイクを作成した経緯もあってか、店頭でお客様からロードバイクの油圧ディスクブレーキに関して特徴やメリットを聞かれることが多いので、一度テキストでおこしてみようかと。

A.ディスクブレーキのメリット
ウェット条件での制動力確保やブレーキ当たり面が汚れにくいといった分かりやすい効果がありますが、「現時点」では、制動力UPよりも下記2点のメリットのほうが大きいと捉えています。

1.スルーアクスル化による捻じれ抑制とシミュレーション精度の向上
まず、スルーアクスル導入で、ハブ周りの捻じれが抑えられて乗り味がガラッと変わります。これまでの「何となくフレーム全体で振動吸収」→「駆動と振動吸収の明確な役割分担」する設計思想が求められ、乗り味も次のように変化します。

クイック軸:全体的にヒラヒラした乗り味
スルー軸:足回りがドシっとした乗り味

クルマで例えるなら、ライトウェイトスポーツカー→グランツーリスモになった感じで、ロードスターのNA/ND、GT-RのR32/R35、インプレッサのGC8/GDBぐらいの差があるかと。

大手のカーボンフレームは、3D-CADのFEMでシミュレーションして形状や積層を最適化していますが、エンジニア談でFEMと試作車のフィーリングが合わなくて、結局KKDになることを聞いてきました。スルーアクスル化で、これまで曖昧だった軸周りの拘束条件が明確になって、シミュレーションと実車フィーリングが近くなることが期待できます。

2.タイヤ幅、ホイール径の自由度拡大
用途やコースによって、タイヤ幅やホイールを履き替えることで1台のバイクで幅広い使い方が可能になります。また、マスプロの生産制約からリムブレーキだとハードルが高い小サイズへの650B(27.5)や650Cのホイール採用が期待でき、小柄な方や女性でも無理のないジオメトリーが確保できます。この辺は、女性ローディやティーン層を獲得したい欧米ブランドの思惑も重なり、MY2017-2018で採用が増えています。

個人的には、700*28Cサイズのロードチューブレスタイヤが非常に好印象です。25Cまでは、メリット/デメリットを天秤してチューブレスを積極的におススメしていなかったのですが、28Cだと当然グリップがあがり、同サイズのチューブドと比べて「転がりの良さ」が体感しやすいのが一番の理由です。

B.ロード用ディスクブレーキの普及つまづき
プロロードレースの現場からは「選手はモルモットか?」の声もあったようですが、1995年前後のMTBのDHバブル期なんかエンドユーザーがモルモットだった気が…。当時は、技術が発展途上でレース現場でもワークスとプライベータの技術差が少なく、今でいう人柱を面白がって受け入れられた寛容な土壌があったのも事実です。

よく言われる普及の障害は、
  • MTBやCXが個人レースに対して、ロードはチームレースで機材共有が面倒←極々限られたトップエンドの世界
  • ローター露出の危険性←それを言ったら元々スポーツバイクなんて、PLステッカーだらけに
  • MTBと違って、ブレーキ&シフターが一体で他メーカーが参入しにくい
  • ブレーキレバー引き底のフニャっとしたフィーリング
  • プロショップの拒否反応
などが謡われていますが、個人的には従来ブレーキに近い味付けを追求し過ぎたことで、プロレーサーは、重量増やブレーキ底タッチ違いをネガティブにとらえ、エンドユーザーのアーリーアダプターは、リムブレーキとの差が少ないことに肩透かしを喰らったことが一番大きかったと思っています。

シマノは、従来のリムブレーキとのフィーリング差を無くすことにすごく注力して、ローター径に関しては、理想φ120だが取付スペースや放熱を考慮するとφ140と言う結論を得てロード用の油圧ディスクブレーキのデリバリーを開始。ホース張力のハンドリング影響や当て効きに配慮して、意図的に柔らかめなホースを選定。確かに、23-25Cタイヤとφ140ロータの組合せだと、ドライ制動力は出来の良いキャリパーブレーキと同等で狙い通りの味付けに。

ただ、発売当時にシマノのエンジニアとも話をしたのですが、店主含めMTBやモータースポーツの経験がある者は、オイルラインはソリッド、ブレーキフィールはパッドとフリーストロークで調整が定石だよねの認識でした。ちなみにR9100系以降は、フィードバックが掛かってか、その流れになっています。

C.今後の流れ
「カーボンリム×φ160ローター×28Cチューブレスレディ」が最適解の目論み。単純に28C化するとホイール外周部が重くなるので、チューブレスレディと軽量リムでGD2を抑えて、軽快感や加速性能を維持。

1.カーボンリム
ブレーキ面廃止で熱影響や圧縮力を負わなくてよくなり、タイヤ圧力による拡張力のみ考慮すればよく、軽量化やコストダウンが図れる。

2.ローター径
φ140で放熱を考慮すると、アイステックのような高価なローターになり、エントリーモデルの完成車価格も考慮するとφ160のSUS製が主流に。

3.タイヤ
φ160ローターでディスクブレーキの制動力を生かしたい→タイヤを28Cまで太くしてトラクションを稼ぐ→チューブドだと重いし、レース中のホイール交換でロータータッチ回避は難しい→チューブレスレディで、ピンホールはシーラントで防ぐのが現実的→パンク時の減圧バッファ面でも28Cが妥当な落としどころ。

スピード域が高いロードバイクで、チューブレスでないレディで安全確保できるのか不安は残りますが、限られたゴム量、テンション構造のリム、それぞれの公差、タイヤ成型機のコストを考えるとチューブレスレディという流れ。

4.ダイレクトマウント・リアディレイラー
スルーアクスルの定着で密かに期待しているのは、「ダイレクトマウント・リアディレイラー」。現行の頼りないハンガーとちがい、スルーアクスルのナットと一体で作れば、ホイール軸との直角度が確保できるし、短いリアセンター+太めタイヤの組合せでも空気抜かないで、ホイールを外しやすくなって良いことずくめ。フラットマウントに続いて、コンポメーカーで足並み揃えてくれるとウレシイのですが。

お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。