2025年9月2日火曜日

シマノ Vブレーキレバー ALIVIO BL-T4000 / DEORE BL-T610 比較

シマノ Vブレーキレバー
左:ALIVIO BL-T4000 / 右:DEORE BL-T610

2025年9月時点、シマノ製Vブレーキを選定する場合は、「ALIVIO系 T4000」または「DEORE系 T610」の二択に絞られます。

Vブレーキ本体は、ブレーキシューが一体型の「S65T」を採用する「BR-T4000」と、カートリッジ型の「S70C」を採用する「BR-T610」で比較的差別化しやすいのですが、レバー側の違いは判別しづらくなっています。なお、仕様書を確認すると、ブレーキ本体の仕上げは「BR-T4000」が塗装、「BR-T610」がアルマイト処理となっています。

違いが分かりにくいレバー側ですが「BL-T4000」に対して、上位グレードの「BL-T610」はブラケットのプレスラインが複雑で、I-SPEC Bにも対応したオープンクランプ仕様ゆえ、ぐっとラグジュアリー感が増しています。

ただ、後発のI-SPEC EVやI-SPEC II規格と比較すると、シフトレバー取付自由度が低く、対応品も少ない為、I-SPEC Bの機能的メリットは殆どないのが現実です。サードパーティ製でアダプタがあるかもしれませんが…。
シマノ BL-T4000 Vブレーキレバー
シマノ BL-T610 Vブレーキレバー

両レバーを比較したところ、遊び量は同等のフィーリング。しかし、レバー主軸~タイコ受け軸までの距離を実測すると、BL-T4000が42 mmに対して、BL-T610は38 mmと短くなっています。アウター受け/主軸/タイコ受けの角度も影響するため断定はできませんが、T610のカチッとしたブレーキフィールは、この寸法差が理由と考えられます。

余談ですが、タイコ受け外側がブラケット内面と擦れると、ざらついた感触になるため、当店では組み立て時に薄くグリスを塗布しています。

最後に大事なお知らせがあります。ディスクブレーキ普及に伴い、フラッグシップのXTRから順次生産終了となってきたシマノ製Vブレーキ。いよいよDEOREグレードの「BL-T610」と「BR-T610」も生産終了の模様で、生産依頼を掛けていない問屋さんからは既に在庫がなくなっています。お求めはお早めにどうぞ。

ちなみに2025/9/2現在の店頭在庫は下記のようになっています。
a. BL-T610 ブラック:数セットあり
b. BL-T610 シルバー:1setのみ
c. BR-T610 ブラック:数セットあり
d. BR-T610 シルバー:完売

※各パーツの詳細&セッティングに関するご質問は、当社ノウハウもございますのでご遠慮ください。

当店の完成車&ホイールの在庫リストは、https://www.avelotokyo.com/p/sale_11.htmlをご覧ください。

お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。

2025年9月1日月曜日

当店ご近所に新しいコインパーキング「第一興商 ザ・パーク クレスト 浦和高砂」

第一興商 ザ・パーク クレスト 浦和高砂
第一興商 ザ・パーク クレスト 浦和高砂

お車でお越しのお客様には、これまで最寄りのコインパーキングとして「パークデイズ浦和高砂4丁目」をご案内してまいりました。そこに加えて、2025年初夏より当店東側・県庁寄りの道路沿いに、第一興商さんが運営するコインパーキング「ザ・パーク クレスト 浦和高砂」が稼働を開始しております。

なお、いずれの駐車場も当店との提携や割引サービスはございませんので、各施設の料金体系に従ってご利用ください。


※各パーツの詳細&セッティングに関するご質問は、当社ノウハウもございますのでご遠慮ください。

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2025年8月31日日曜日

Orange Bikes / ABUMS develops / CrossWorx Bikes / Leovelo / Officina Battaglin / Pure Bros Cycles / MIKALON bike | EUROBIKE 2025 出張記

Orange Bikes
DJI Avinox モーター搭載 試作車

2025年6月下旬、ドイツ・フランクフルトで開催された「EUROBIKE 2025」へ出張してまいりました。E-BIKE/E-CARGO BIKE/E-PMV(Electric - Personal Mobility Vehicle)が主流を占める本ショーですが、自転車オジサン達の鼻息が荒くなるであろう「HANDMADE AREA」も設けられています。

「HANDMADE」と聞くと、「Bespoked」や「Tailor Made」といったオーダーメイドのイメージが強いですが、本エリアでは、小規模メーカーによる少量生産モデルも含めた、より広義な“手仕事”の車体が展示されていました。

シングルピボットのリアサスペンション構造が特徴の「Orange Bikes」。経営難を理由に、ここ数年はファクトリーチーム撤退や管財人任命等のゴタゴタがありましたが、DJI Avinox モーターを搭載した試作車を発表しました。

ABUMS develops | Motorized Trail Bike
E-MTB エンデューロバイク ABUMS E-001
CrossWorx Bikes | ZERO290
CrossWorx Bikes | ZERO290
シフトケーブル・ルーティングが一直線
CrossWorx Bikes | ZERO290
Manitou MATTOC PRO LE / Limited Edition
CrossWorx Bikes | RIDE280 – Größe L
Leovelo | Jungle Runner
Leovelo |  Gravel Bike
Officina Battaglin | Cortina
Officina Battaglin | Matera
Pure Bros Cycles
ハイドロフォーミングによる異形断面チューブを多用した
新型チタン製グラベルバイク
MIKALON bike
ハイブリッドな「分割+折りたたみ」機構&トラス構造を備えたチタン製ミニベロ
独自ブースで出展


当店の「EUROBIKE 2025」関連記事は、コチラをご覧ください。

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2025年8月30日土曜日

ENVY / エンヴィ SES ホイール / Custom Road / MOG 眺めながら 製造業における米国回帰の可能性を考える | EUROBIKE 2025 出張記

ENVY ブース

2025年6月下旬、ドイツ・フランクフルトで開催された「EUROBIKE 2025」へ出張してまいりました。「ENVE (エンヴィ)」を含めアメリカ系ブランドは、アジア圏のショーに出展することは殆どないので貴重な機会になります。

ENVEがSESホイール等をスポンサードする
タデイ・ポガチャル所属のUAE Team Emirates バイク

ENVE Custom Road
ENVE Custom Road
ENVE MOG
ENVE MOG
ENVE MOG
ENVE MOG
トップチューブにはプロテクションシートが貼られています

「MADE IN USA」にこだわってきたENVEですが、新作「MELEE」では台湾製造に切り替えました。時を同じくして米国生産を続けてきた「Allied Frameworks」も台湾製へと移行しており、いわゆる“MAGA的”な国内回帰の流れとは逆行する動きと言えるかもしれません。

生産性、コスト、不良率(歩留まり)といった製造現場の現実的な要因からすれば、これらの選択は合理的といえます。同時に、米国内で製造業を継続する困難さを象徴する事例でもあり、カーボンフレームのみならず、スチールバイクにおいても同様の傾向が見られます。

一定の知名度を獲得したUSのビルダーやガレージブランドによるセミ・マスプロモデルは、以前より台湾製が一般的となっています(例:Rivendell Bicycle WorksWilde Bicycle Co. / Sklar Bikes / Black Mountain Cycles)。

そんな中、米国生産で一定の製造規模を維持できているのは、FTW(Frank The Welder)くらいかと。余談ですが、米国のレジェンドビルダーである同氏は、2024年にPolygon/Co-op Cycles/Kona/Marin等を製造するインドネシアのPT Insera Sena社へ技術指導のため招聘されています。

また、自転車に限らず米製造業の現場は、就労者の15~20%が移民によって支えられている現実もあって、メキシコ出身者がその4割を占めると言われています。日本が得意としてきた加工貿易型産業の中心である製造現場も、ベトナムなどからの外国人労働者が6%を占めているのが現状です。

閑話休題。ここで問われるのは、「アメリカン・ブランド」の存在意義です。それは、どこで製造されているかという地理的条件なのでしょうか? それとも、設計思想やブランドが掲げる価値観にこそ本質があるのでしょうか? 

ENVEもAlliedも、台湾製に移行した後も設計やテストはアメリカ国内で行っており、品質基準も従来のまま。製造地の変更をもってしてブランドの理念が損なわれるとするのは早計かもしれません。むしろ、思想性をどう外注先に伝え、実装していくか。その技術的・文化的な伝達力こそ、真のブランド力と言えるのではないでしょうか。

最大手であるTREKおよびSPECIALIZEDは、早くから生産拠点を台湾や中国などのアジア地域に移行済みです。Cannondaleも同様の流れでしたが、一部車体の組立工程については、米国や欧州への消費地回帰の動きも見られます。

トランプ大統領が掲げる製造業の国内回帰を背景に、日米関税交渉の一環として、日本の政府系金融機関は総額5,500億ドル(約80兆円)規模の対米投資を支援することとなりました。ただし、アメリカ国内に新工場を建設し、製造業を新たに立ち上げるとなれば、サプライチェーン/人件費/利益率の観点から、現実的に可能性があるのは自動車産業ぐらいではないかと考えられます。

言うまでもなく、これまで以上に無人化・省人化を進めなければ、採算性の確保は困難でしょう。しかし、その方向性では、期待されるような直接的な雇用創出が生まれない不都合な未来も見え隠れするのです。


※各パーツの詳細&セッティングに関するご質問は、当社ノウハウもございますのでご遠慮ください。

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2025年8月29日金曜日

シマノ SHIMANO 新型 SPD マルチエントリータイプ クリート CL-MT001 | XTR トレイル/エンデューロ向けペダル PD-M9220

 

シマノ 新型 SPD マルチエントリータイプ クリート CL-MT001
公式サイトより

海外の販売サイトでチラホラ見かけていたシマノの新型SPDクリート「CL-MT001」が正式発表されました。エンバーゴが設けられていましたが、公式サイトも一日前倒しで公開されており、些かGoogleデバイス発表のようになし崩し感も…。

このクリートは、同時にデリバリーが始まるXTRトレイル/エンデューロ向けペダル「PD-M9220」に標準付属しますが、従来のSPDペダル&シューズにも対応するので、既存の機材ユーザーもその恩恵を享受できます。


XTR PD-M9220 SPD エンデューロ/トレイルペダル

従来モデルのSM-SH51/56は、つま先側からしかエントリーできませんでしたが、新型クリートは「マルチエントリー」を謳い、かかと側や真上からのステップインも可能です。先端をラウンド形状&面取りすることでこの機能を実現し、さらに歩行時の路面接触も軽減しています。

耐久性と信頼性で定評のあるシマノ・SPDペダルですが、かかと側からのエントリーを譲れないライダー(特にエンデューロ系)が少なからず存在して、彼らはこれまでCrankbrothers等を選んでいました。新型クリートとペダルは、まさにそのユーザー層を狙いにきた製品と言えます。

現有のペダルシステムを変えずに、クリート形状の見直しだけで大きな改善を果たした点は驚嘆に値します。個人的には、サポートライダーのメカニックが既存クリートをグラインダーで削って試したアイデアを昇華させて製品化したのではないか?と想像しています。

マルチエントリータイプは、ステップイン/アウトの回数が多いエンデューロ/トレイル/CXライダーはもちろん、ビンディングペダル初心者にもおすすめです。ちなみに、外すときは、かかとを外側にひねるシングルリリース式。

いいことづくめに見える「CL-MT001」ですが、面取り加工によって爪先のコンタクトポイントが減少しているぶん、ペダリング伝達効率では従来品にやや劣る可能性があります。同社が、踏み面を稼げるケージ付きトレイル/エンデューロ向けペダルとの組み合わせを想定しているのも、そのためと考えられます。ゆえにロードツーリングやXCレースは、今まで通りSM-SH51を選ぶのも一手です。


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2025年8月28日木曜日

Galfer | ガルファー 新型 ディスクブレーキ ローター SHARK EVO Kashima coat カシマ コート | EUROBIKE 2025 出張記

Galfer 新型 ディスクブレーキ ローター SHARK EVO ブラックアルマイト仕様
右奥にみえるのが、カシマコート仕様

2025年6月下旬、ドイツ・フランクフルトで開催された「EUROBIKE 2025」へ出張してまいりました。「Galfer」は、EUROBIKE開催に合わせて、新型のディスクブレーキローター2モデルを発表しました。

まず一つ目は、ロード・グラベルバイク向け、センターロック仕様の新型「Shark Road brake disc」。MTB向けに先行展開されていた「Disc Shark」をベースに、ロードおよびグラベル用途に最適化されたモデルです。

Galfer 新型 ディスクブレーキ ローター SHARK EVO
カシマコート仕様

お次は、MTB向けの新型「SHARK EVO」。アルミ製スパイダー(コア)部分に、カシマコート/ブラックアルマイト/Raw仕上げの3種類が展開される模様です。PinkBikeでも言及されていますが、カシマコートに関しては、「Fox製品とのビジュアル的な統一感を演出する」以外に、特筆すべき機能的な意味はないと見られます(でもちょっと欲しい)。

Galfer ディスクブレーキ ローター 製造プロセス 1
Galfer ディスクブレーキ ローター 製造プロセス 2
Galfer ディスクブレーキ ローター 製造プロセス 3

当店の「EUROBIKE 2025」関連記事は、コチラをご覧ください。

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