2022年6月11日土曜日

シマノ 11sコンポ × 12s用クランク 互換性 検証 | シマノ アルテグラ R8000 ドライブトレーン × FC-R8100 クランク ミックス ビルド

アルテグラ R8000 11s ドライブトレーン × FC-R8100 12s クランク

依然として供給が滞っていますが、2021年夏に発表されたシマノ新型・12sグループセット、「R9200系 DURA-ACE & R8100系 ULTEGRA」。

リムブレーキ用コンポも上梓されたのは意外でしたが、OLD142mmに最適化が進み、外側へ左右1mmずつオフセットされたクランクセット(Qファクター148mm/チェーンライン44.5mm)は、果たしてOLD130mmとの組み合わせでストレス無く使えるのかしら?と不安を覚えたのです。

併せて、下記のようなユースケースを想定して、シマノ11sドライブトレーン環境に12sクランクを組合せを試してみることに。

  1. カブトガニなど過去から色々と言われようなシマノ製クランク。R9100世代コンポのユーザーでも、非対称デザインが受け入れられずクランクのみ社外品を選択された方も少なからずいた感。されど、変速性や剛性を理由に同社製を使いたいのも本音かと。
  2. 買収効果でパイオニア特許が採用された新型パワーメーター内蔵クランク、FC-R9200-PFC-R8100-Pを装着したい。納期はさて置き、外観も後付け感がなくスッキリするし。
  3. クランクのみ交換したいけど、今更11s時代のパーツを購入するのは憚られる。
  4. 体格に合わせて、R8100から追加された160mmショートクランクを使いたい。

今回はチェーンライン的に厳しい、OLD130mmのリムブレーキ&リアセンター短めなフレームで、ワイヤ引き11sコンポと支障なく組合わせられるのか試してみました。

サンプルは、過去のポストで紹介したこともある15年落ち間近な旧車「SPECIALIZED S-WORKS TARMC SL2(MY2008)」。この車体をベースに、クランクをR9100(11s用)→中華モデルR8100(12s用)と変更しました。

シマノ アルテグラ FC-R8100 クランクセット
中空チェーンリングのプレスラインは、R9100設計を踏襲か
FC-R8100 背面
スピンドル開口側:封止あり
アクスル素材:従来同様のスチール製
R9100世代のFDは、このワイヤガイドが鬼門。ワイヤ角度によっては、
アウター→インナー変速時にC端面に引っかかるので、追加工orライナーetcで処理が必要
交換前のクランク
インナーリングとチェーンステー隙間からチェーンラインが外気味なのが伺えます

結果から言うと、OLD130mm環境下でも「R8000 11s ドライブトレーン × FC-R8100 12s クランクセット」の組合せは、問題なく動作しました。チェーンリング横方向の剛性が増したのか、変速性も好印象。アウター×ローでバック踏みしても、チェーンは外れにくいです。

FDセッティングは、幾分シビアになった感はありますが、サードパーティ製クランクセットのようなエキセントリックな調整は不要。Di2だと個別に位置決め可能ゆえ、なおさらFD調整は容易かと。

 FC-R9100中華モデルFC-R8100
チェーンライン(R9100対比)0mm+2~3mm+1mm
アウター×ローバック踏み×

余談ですが、GROWTACさんが国内代理店になった低価格パワメ付きクランク「Magene P325 CS」もやや外側のチェーンラインらしく、OLD130mm環境下だとアウター×ローバック踏みするとチェーン落ちするケースがあります。7900世代頃までだと、外れて当たり前だった事象ですが。

気のせいかもしれませんが、FC-R8100はサンプルや初期ロットの色が薄くて、どことなく安っぽい印象でしたが、入荷品はアルマイト色調が濃くなった感でR8000コンポと組合せても違和感がありません。

さて、新型のR9200&R8100のシマノ発表当時に遡りますが、トピックスとしてFD変速時間の大幅な短縮が謡われました。メーカーが言う、FD機構の抜本見直しが寄与しているのは然は然り乍ら。

ただ、Di2ならインナー×トップ2枚はソフト的に回避されるので、クランクもそれに合わせた専用設計で、チェーンタッチを気にせずアウターリング裏のスパイクピンやら凸形状を高く出来たのが、貢献しているんじゃない?と店主は疑ったのです。

それだと、ワイヤ式コンポとミックスするのは難しいと思っていましたが、後にアルテグラ・R8100は、Di2だけどインナー×トップが入る(おそらくRDケージが長い)との情報を聞いて、それならワイヤ式のコンポでも使えると踏んだ次第。サードパーティ製のクランクセットやチェーンリングの多くが、シマノ12/11sコンパチを謳っているものが大半ですし。

一方、シマノ・スポンサードを受ける欧プロチームでも、12sクランクの供給が追い付かないことから、ティア1やエース選手以外は、R9200の12s環境に旧型11sクランクを組合せてレース参戦しているようで、それが原因でトラブルが出ているとの噂も耳にします。本件とは逆の組合せですが。

取り付けたアルテグラ・FC-R8100クランク単体の印象は…。

  1. スピンドル開口部に、プラ封しあり。ベアリング当たり面の真円性の確保/接着界面への水侵入防止/パワーメーターコンパチ設計か理由は不明。
  2. メインアームの出っ張りが大きいかと思いきや、従来同等で問題なし。
  3. アウターリング裏の凸は、富士山・稜線のようなカーブが絶妙で、変速性を確保しながらインナー&トップでのチェーンタッチを避けている感。

今回試してませんが、同じ11s条件下でも下記の懸念点が挙げられます。ゆえに賢い大人は、丸っとコンポを入れ替えるか、新型の完成車購入をお勧めします。

  1. FD:R9000世代だとストローク不足するかも。
  2. RD:ダブルテンション仕様(=ノン・シャドータイプ)だと、ガイドプーリー位置諸々の違いから、アウター×ローでバック踏みするとチェーンが外れそう。
  3. フロント55Tやリア34Tだと、チェーンタッチ他の問題が発生する可能性あり。
※取付&加工法や使用パーツ等のご質問は、当店ノウハウのため、お応えしかねますことをご了承ください。

お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。