2024年6月16日日曜日

椿本チエイン LA SI QUE / らしく 電動アシスト3輪自転車 Bicycle e-Mobility City EXPO2024 出張記 ニチコン EVパワー・ステーション/Assemblepoint アセンブルポイント他 E-PMVを考える

椿本チエイン 電動アシスト3輪自転車「LA SI QUE/らしく」

以前から動向が気になっていた、椿本チエインさんが開発中の電動アシスト3輪自転車「LA SI QUE/らしく」を拝見すべく、新宿で開催された「Bicycle e-Mobility City EXPO2024」へ出掛けてきました。

同社は、新事業の一つとして2023年4月に「電動アシスト3輪自転車・多目的e-Cargo」を発表しました。この業界に身を置く者としては、自転車産業はシマノさん以外は構造的に薄利ですし、15~20年すれば全固体電池ベースのペダリング不要なパーソナルモビリティ(E-PMV)に移行するだろうと見込んでいるので、自転車形式での参入は旨味が出ないのでは?と僭越ながら心配してしまいます。

クルマ用の駆動部品も手掛けている同社。そんな場末の自転車屋店主が考えることは百も承知で、最終的なE-PMVを視野に入れながら、取っ掛かりとして事業化の目途が立ちやすい電動アシスト自転車で参入を決めたのかもしれません。直近のニュースで「東京都杉並区での実証実験実施」も報じられてます。

SHIMANO STEPS 搭載
2023出展したモデルに比べ、造形がスッキリしたリア回り
特徴的なスイングアーム式

三輪/トライク式自転車における技術の肝は、並列2輪の足回り機構。「LA SI QUE」は、リア片側・左輪駆動でデフ無し。従来あるリンクやスイング式では無く、モーターサイクルのスイングアームを並べたような独懸スタイルです。

チェーン&駆動部品メーカーの同社らしく、駆動部もオリジナリティが垣間見えます。試乗もしましたが、シンプルな機構ながら後輪の追従性は、非常に高く仕上がっています。

また、モータユニット(エンジン)が、一般的な電動アシスト自転車用では無く、E-BIKE向けが装備されているので、制御の分解能/応答性に優れています。ちなみに「SHIMANO STEPS」が搭載されていることから、椿本チエイン製「e-Bike用クラッチ」の納入先は、シマノと言うことが伺えます。

免許返納した高齢者の移動手段の受け皿としても狙っているようですが、国内マーケットのみでは量産効果が得にくいし、市場価格も下げられません。かと言って、欧州が主戦場のカーゴバイク市場も既にレッドオーシャンで、高度なマーケティングが要求されます。

発表当初の記事で、「LA SI QUE」は国内での生産組立に拘られていましたが、空洞化して久しい日本において量産体制の確立は、容易でないと店主は思っていました。その点は、最近はトーンダウンしているようで、現実的な落とし処を見据えておられていると察します。

ちなみに同社は、本部門で求人を掛けているので、自転車業界でモヤモヤしている方は目を通されては如何でしょうか?。ただ、量産を視野に入れた自転車・機構設計ができるエンジニアは稀ですし、海外含めて募集しても、このサラリーじゃ見合わないかなとも。

Bicycle e-Mobility City EXPO2024 入口
Bicycle e-Mobility City EXPO2024 会場

ちなみに、Bicycle e-Mobility City EXPO2024は「自転車活用推進議員連盟、 自転車活用推進本部、 国土交通省、経済産業省、スポーツ庁…」と錚々たる後援団体が名を連ねており、金の匂いもといロビー活動の成果が表れています。

China Cycle 2024で多く見かけた「電動モトクロッサー」も展示

本田技研傘下の「Wing-AI Lab(ウイング エーアイ ラボ)」の
マイクロモビリティロボット「WaPOCHI(ワポチ)

ニチコン EVパワー・ステーション

店主が以前勤めていた会社と競合相手だった「ニチコン」さんは、2011年ごろから日産の「LEAF to Home」でEV充電市場に本格参入。ちょっと調べてみると、知らない間にこの分野は様々なプレイヤーが参入しており驚かされました。

最後に全くの余談を。店主は、2010年ごろに街で走っている「コミュニティバス」を見て、もっと小さく且つ自動運転なら、損益分岐点が下げられるのではないかと漠然と思っていました。例えば、軽EVベースにモータ特性である低速トルクを最大限活用して、最高速を30~40km/h程度に抑えて、減速比を大きくとった超マイクロバスみたいなイメージです。

クラッシャブルゾーンのハードルはありますが、搬送効率と経済性を最大化できるんじゃないかと。それと同様なコンセプトで、カートリッジ式バッテリーを組み合わせてフィリピンを中心に事業化を進めているのが、本展示会にも出展されていた「Assemblepoint/アセンブルポイント」さんです。

個人的に頑張って軌道に乗せて欲しいと、遠目に趨勢を伺っていましたが、2023年末に少々きな臭い噂が聞こえる3DOM傘下のnoco-noco Inc. に360万米ドルでM&Aされたようです。

※取付&加工法や使用パーツ等のご質問は、当店ノウハウのため、お応えしかねますことをご了承ください。

お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。