Schwalbe Albert Gravity Pro / シュワルベ アルバート グラビティ プロ Radial carcass / ラジアルカーカス |
左からAlbert Gravity Pro/Albert Gravity Pro Rear/同 Front |
ラジアル構造 PLY角度 90度に近い鈍角 |
ラジアル構造 PLY角度 90度に近い鈍角 |
他社 一般的なバイアス構造 PLY角度 45度 |
他社 一般的なバイアス構造 PLY角度 45度 |
先日、PRインターナショナルさんの展示会に伺って、気になっていた「ラジアル構造のSchwalbe Albert Gravity Pro」のサンプルを拝見してきました。
「台北サイクルショー 2024」でも触れましたが、自転車に限らず「空気入りタイヤ」は、数値化しやすい転がり抵抗含めて、各メーカーにおいて細かい改善や組合わせ変更等の努力がされているものの、性能面でサチっているのが現状です。
- カーカス(=PLY/ケーシング)角度が、回転方向に対して直角ではない
- トレッドゴム-カーカスの間に、形状保持するためのベルトがない
![]() |
Schwalbe Radial Construction Pinkbikeより |
- Pinkbike/First Ride: Schwalbe's New Albert Gravity Pro Tires Use a Radial Casing for Improved Grip
- Bikerumor!/Schwalbe Reinvents the Mountain Bike Tire in Unique Radial Casing with Extra Grip for Albert
- Bikerumor!/Review: Schwalbe Albert Gravity & Trail Radial MTB Tires Simply Grip More
- Bikeradar/Schwalbe borrows radial car tyre tech for new Albert and Shredda models
![]() |
Souplesse construction(=現・Super Race carcass) Schwalbe Pro One Tubeless等に採用済 |
部材配置的には、「Souplesse construction(スープレス構造)」の方がよっぽどラジアルタイヤに近いと店主は捉えてます。従来の自転車用バイアスタイヤは、カーカスをオーバーラップさせる3~4PLY構造が一般的。それに対してSouplesse constructionは、ラジアルタイヤの成型方法に似たターンアップ構造。従来と異なりセンター部分でカーカスを重ねない2PLYにしたことで、柔軟性とRR低減を図っています。
ゆえに発表当時、Bikerumor!等で本構造を見たとき、PLY引き抜けない?、トレッド端がセパしないの?と不安視しました。リムとタイヤのワイド化に伴い、タイヤ空気圧は低圧化が進んだこともあり、目立った問題は出ていないようです。
![]() |
Schwalbe Pro One 部材配置図 |
Vittoria CORSA PRO SPEED トレッドゴムの薄さが際立つカットサンプル |
![]() |
Vittoria Corsa PRO Speed Tubeless-ready Vittoria本国サイトより |
![]() |
Continental Grand Prix 5000 S TR 2PLY×110TPI=220TPI ケース構造 ミズタニ自転車サイトより |
バイアス45度、ラジアル90度の先入観に縛られていると、ラジアルタイヤは重く強固なベルトでカーカスを拘束する必要があります。鈍角カーカスとの組み合わせならば、そこまで堅牢なベルトは不要なのではと考えるのです。勿論、カーカスの素材やTPIの最適化も併せて必要になりますが…。
ここまで考えると、「CushCore/クッシュコア」に代表されるタイヤインサートをインナーライナー面に貼り付けて、ランフラットかつ補強材の一部にすれば良いんじゃない?とスケベ心も芽生えます。ただ、そこまで手を広げるとリムプロファイル含めたプラットフォーム更新が視野に。
一方、ちゃぶ台返し的な新しいプラットフォームを導入となると、既存のマーケットに浸透させるのは、火を見るより明らかに困難。ならば、車体全体の転換期が好機と捉えられ、2040年頃に訪れるだろうパーソナルモビリティ(E-PMV)に移行期がターゲットになりますが、俯瞰すると「空気入り」タイヤに拘る理由はなく、現実解はAirFreeのようなエアレス・タイヤに行き着くオチが待っているのです。