SPECIALIZED S-Works Tarmac SL2 × シマノ R8000/BR-R9100/FC-R8100 |
汎用ゼロオフセットのシートポストに交換して、今更ながら前乗りポジションを試してみようと久しぶりにリムブレーキのロードバイク「SPECIALIZED S-Works Tarmac SL2/MY2008」引っ張り出してきました。
気が付けば、フレームはMYベースで17年落ちですが、コンポーネントは、「シマノ 11sコンポ × 12s用クランク 互換性検証」等でリフレッシュ済。改めてリムブレーキバイクのメリットを挙げるなら、価格を抑えて車重が軽いバイクに仕上げられる。そして、なんだかんだ言って、輪行は気を遣わずに済むと言ったところでないかと。
と言っても、普段から油圧ディスクブレーキ+ワイドタイヤに、すっかり飼いならされている店主の身体。久しぶりにリムブレーキバイクで走り出すと、DRY路面にも関わらずブレーキポイントはかなり手前となり、余りのブレーキの効かなさに愕然とさせられます。
この制動力の違いは、25mmの細いタイヤ幅のせいか?と、実幅含めて同じタイヤを油圧ディスクブレーキ車に履かせて比較したことも。結果は、やはり単純にブレーキシステムの違いで、φ140ローターにも関わらず、制動力は歴然として油圧ディスクブレーキに軍配が上がります。ちなみにWET条件下の制動力は、シマノさん情報だとメタル100%とすると、レジン60-70%、リムブレーキ20-40%と謳われています。
ちなみに、この車体のホイールは、MAVIC黄金期の最期に生み出された「R-SYS」、内幅15mmのナローリム。旧ETRTOに準拠したMAXXIS製タイヤのケースは正確に製造されており、本組み合わせだと呼び寸と違わずタイヤ実幅は25mm。
一方で店主がメインで乗るロードバイクの足回りは、リム内幅22mm&タイヤ実幅30mmを4-5barで運用。久しぶりに25mmの7bar条件だと言わずもがな跳ねて、じゃじゃ馬を操る感。それはそれで、リムブレーキバイク特有の軽いステア慣性と相まって、ヒラヒラした乗り味で良いものです。ディスクブレーキじゃなければ楽しめないと、自身のウィンドウを狭くする必要はありません。
車体重量が軽いので、正直ヒルクライムだけならリムブレーキバイクでも遜色はありませんし(寧ろ速いことも)。ただ、ダウンヒルや平地では、先述のとおり心許ない制動力とバンピーさが露呈します。従来、クルマ好きのお客様には、リムブレーキ→ディスクブレーキバイクの違いは、GT-RのR32→R35ぐらい差があるとお伝えしてきましたが、ワイドリム&タイヤと低圧化が進んだ現在は、AE86ぐらいまで広がっている感。
されど、GDB以降が乗り物として正常進化しているのを理解していても、GC8にあった尻の軽やかさは今でも魅惑的なのと同様。高圧ナロータイヤゆえの突き上げを馴らしながら走るのは、自身が操っている感もあって楽しく、ポジティブな表現をするなら、「プリミティブ」かと。短いストロークと減衰高めの足回りで、ガタガタ走るのが普通だった昔のシャコタン四輪の記憶と被ります。
そして、旧い空冷ポルシェにワイドタイヤを収めるか如く、クリアランス的にギリギリのリム内幅19mm+28Cタイヤを装着したら、幾ばくかマイルドで現代的な乗り心地になるんじゃないか?と淡い期待も抱いたりも。
クランク:FC-R8100 52/36t(12s用) |
RD-R8000 × 11-34t スプロケット |
当店でも、ご相談頂くことが増えた「リア・スプロケットのワイドレシオ化」。「水は低きに流れ、人は易きに流れる」、ギア比もまた然りかと。加齢と不摂生により、増加した体重と低下したフィジカルをカバーしてくれるので、レースをしない一般ライダーにお勧めするチューニング(調律)です。結局は自転車なので、漕がないと進まないのですが…。
かく言う店主も「ショートゲージRD×クロスレシオCS」の組合わせを美学とする価値観に縛られていましたが、最初に組んだ頃の「52/39*11-25t」→「52/36*11-34t」へと、生き方同様にローレシオに解脱しています(笑)。
下りはそこそこ踏みたいので、アウター52tはキープしていますが、インナーリングは36→34tにしたいのが本音です。勿論そうすると、仕様から逸脱してRDの最大フロントギア歯数差の許容値16tを超えることもあって、下記のようなデメリットが浮かび上がります。
- スプロケット-ガイドプーリー距離が広がり、RD変速性が低下
- チェーンリングのスパイクピン位相がズレて、FD変速性が低下
- インナー×ロー時、FD羽根ブリッジにチェーンが干渉
店主が好むケーブル・ルーティング |
2000年代初頭、カーボン成型やアルミハイドロフォーミングの技術進歩により、それ以前には量産できなかった曲率(R)の小さいドロップハンドル、すなわち「アナトミックシャロー」や「コンパクト」と呼ばれる短くて浅いモデルが流通するように。これは、ほぼOE専業だったFSAが躍進するきっかけとなった歴史とも重なります。
小柄で手が短めな日本人は、そんなリーチ&ドロップ共にショートなハンドル形状が適しているとされてきました。理屈は大筋で間違っていませんが、自身の経験からは、リーチは短いけど、ドロップは130mm以上とそこそこある丸ハンの方が、下ハンを握ったときに手首の返しに余裕があって、しっくりくるライダーが潜在的に多いんじゃないかとも思います。
余談ですが、コクピット周りのケーブルルーティングは、前方にシフト、後方にブレーキワイヤを配置すると見た目がスッキリするので好みです。この辺りは、アウター受けの配置にも制約を受けるので、ケースバイケースとなりますが。