Voluptas | ウォルプタース スチール クロモリ 油圧ディスクブレーキ ロードバイク シマノ ST-RS685/R9200/R8000/5800 ミックスビルド |
ディスクブレーキ・ロードバイクの黎明期。シマノから、油圧ディスクブレーキ・ロードバイク用の「ST-RS685」がデリバリーされた2014年頃に当店で試作したのが、「Voluptas | ウォルプタース スチール ロードバイク」。
直近の別試作車で、Di2は散々試したので、本機は敢えて油圧ディスクのみにフォーカスして、ワイヤ式変速コンポを前提に製作しました。設計当時、販売店レベルにはフラットマウント規格が公になっていないタイミングで、ブレーキキャリパはポストマウント(PM)式を採用。PMはフレーム側のインターナショナルスタンダード(IS)台座に、アダプターを介してキャリパを固定されるのが殆どで、現在のMTBでも依然として散見される様式です。
フレーム製作の都合を考慮すると理解できますが、店主は余計なパーツを付けたくない拘りで、フレーム側にポストマウント台座を直接設置して、アダプターを排した構造を採用しました。その他、所々にオタク心が見え隠れしています。
試作を通じて、少なくともフロント側はスルーアクスル必須等の収穫がありました。その一方で、スチールやチタン製のディスクブレーキ・ロードバイクは、重量や剛性面でネガティブな処が目立ってしまうという気づきも。この辺りの考察は、下記の過去ポストをご覧ください。
そして、早い段階で店主が予想した、積極的にリア三角をたわます構造ですが、結果的にカーボンやアルミフレームではシートチューブが担うのが主流になっています。MY2025の最新モデルだと、「COLNAGO Y1Rs」のように更に思い切ったデザインを採用することで、垂直方向の柔軟性を高めたバイクも登場しています。
シマノ ST-RS685 |
小型かつ密閉式ゆえ、クルマやモーターサイクルよりも面倒な側面がある自転車の油圧ディスクブレーキ。シマノ・ロードバイク用ディスクブレーキの遍歴は、STの設計思想として下記4世代に大別できます。
「ST-R785/ST-RS685」→「ST-RS505他」→「ST-R9120他」→「ST-R9270他」
Dura-Aceグレードで、油圧ディスクブレーキが正式ラインナップされた第3世代「ST-R9120」は、ブリードスクリューをアルミ製にするなどST軽量化の徹底ぶりが伺えました。小型軽量化を図るために、マスタシリンダー構造変更やエンプラが多用されました。そのせいか、レバー側が少々頼りなかったのですが、ブレーキホースのSM-BH59→BH90変更と相殺されて目立たなかったのかと。
第1世代の「ST-RS685」を改めて使ってみると、最新のDi2仕様は勿論、ワイヤ変速仕様と比較しても、ブラケットが一回り大きいです。もう少し正確に言うと、上下に胴が長いデザインで握ると「太っ」となります。反面、マスターシリンダーがオーソドックスな構造&金属パーツ多くて剛性が確保されており、レバータッチは良好。重く大きいのは言わずもがな。
おそらく、商品企画から仕様を投げられたメカ設計者は、ワイヤ巻取機構の大きさ知ってるの?、マスターシリンダーと共存なんて収まらんよと嘆いたと想像に難くありません。握り径を細くするため、前後方向に機能を配置したのが第2世代の「ST-RS505」になります。ステア慣性の抑制、Di2/ワイヤ式で部品共有のためか、このレイアウトは第3世代以降には継承されませんでした。
シマノ WH-RX830 |
電動シフト+油圧ディスクブレーキの最新テクノロジーが搭載された現在。握りやすいとブリフターと評されるのは、シマノ・ST-RX825やSRAM・Red AXSが挙げられます。技術遷移を経て、ブレーキレバー形状が1990年までの古なWレバー時代のデザインへ回帰するのは、少々複雑な心境かつ3D-CADや人間工学が無かった先人達の凄さを思い知らされるのです。
シマノ FC-R9200 |
シマノ RD-R8000-SS |
シマノ WH-RX830 |
44mm HT/ヘッドチューブ |
当時、スチールやチタンに関してフロントフォークのテーパードコラムにマッチする「44mm HT/ヘッドチューブ」は極限られたルートでのみ入手できる状況でした。その後、カーボンフレーム同様のテーパード・ヘッドチューブが流通するようになり、重量抑制やトップチューブ径との落差解消されることに。フレームサイズに合わせた、ヘッドチューブ長を用意する必要もありますが…。
ただ、近年に採用が進む「ケーブル&ホースの完全内蔵/インターナル化」に伴って、アルミフレーム含め44mmHTへ先祖帰りする流れもあります。