Cannondale CAAD13 × DT SWISS 350 × Carbon Rim 40mm × Panaracer GRAVELKING R 700×28C × Jagwire Pro LR2 Disc Brake Rotors スポルティーフなカスタマイズ例 |
2024現在で流通しているディスクブレーキ・ロードバイクは、シマノ・コンポーネントの発売時期に倣うなら第3~4世代に当たります。当店でも、ディスクブレーキ黎明期からデモバイク制作したり、試行錯誤をしてきました。
リムブレーキ時代は、「軽快性」と「快適性」の両立が困難でした。前者を優先するなら「ロードバイク」、後者なら「ランドナー」と言ったところ。ロードバイクのディスクブレーキ化は、その制動力に目を奪われがちですが、それに伴うワイドタイヤ&スルーアクスル導入が、自転車として大きく進化を促して、上記を両立する「現代版スポルティーフ」の土壌が出来たとも言えます。
自転車は自由な乗り物ですし、好みや主義主張、楽しみ方は人それぞれ。道具なので、用途に合わせた単機能の方が優れているのは勿論。例えば、ハイエンド・レースバイクの特徴である官能性やパリッとした乗り味は捨てがたい反面、保管スペースや費用を考えると、複数台所有はハードル高めです。
それを踏まえて、ホイールやスプロケットを入れ替えず、細かいことは気にせず一台でそこそこ楽しめ、殆どのロードバイク・ユーザーがマッチする下記のようなターゲット。舗装路メインだけど、サイクリングロードに時々現れる軽い砂利道ぐらいは、気兼ねない走破性は欲しい。そんな現代ロードバイクのスポルティーフな落とし処を探ってみることに。
- 基本は舗装路~軽い砂利道、上り/平地/下り
- レースは出ないけど、軽快な走行を楽しみたい
- 空気入れとチェーン注油ぐらいで取扱いに気を使いたくない
ご参考まで、ディスクブレーキバイクの第3世代に当たるアルミロード「Cannondale CAAD13 DISC」をベースに「スポルティーフな落とし処」をご紹介。これまで、トレンドに先駆けてワイドリム/グラベルタイヤ/ダイレクトマウントRDハンガー/ブラケットカバー他を試して、散々こすってきた車体です。今回の肝は、ワイドギアレシオと乗り心地が良く軽めなタイヤです。
ドライブトレーン:52/36 × 11-34t |
店主がロードバイクに乗り始めた1980年代後半、リアスプロケットは6~7枚でした。当時は、「大きいチェーンリング/小さなリアスプロケット/短いRDケージ」がイケてるロードバイクのアイコンでしたが、現代は真逆の方向に。
コースや状況に応じて、スプロケットやタイヤを交換するのも自転車の楽しみの一つですが、多段化が進んだ今だと、32~36Tのワイドギア装備のままで上り下り問わずに卒なくこなせるようになりました。
シャドーRD(=シングルテンション)導入以降、ロングケージでも変速のモッサリ感は薄れたので、リムブレーキユーザーでも「RD-R8000-GS(11s)」や「RD-RX400(10s)」等を導入することで恩恵が受けられます。加齢と不摂生で低下したフィジカルも補ってくれますし。
40mmハイト・カーボンリム × DT SWISS 350 ハブ |
ディスクブレーキを搭載したロードバイクの場合、トータルで最適化されたコンプリートホイールなら24H以下でも耐久性を担保できますが、汎用パーツを組み合わせJベンドスポークで手組みするなら、少なくともリアは28H以上が望ましいと当店では考えます。勿論、リムハイトにもよりますが。
カスタム例は、バランスを考慮した400g/本の「40mmハイト・カーボンリム」に、手堅い造りの「DT SWISS 350 ハブ」を組み合わせた手組ホイールでセットアップ。
- リム:Carbon Rim 40mm 28H / 内幅22mm / オフセット仕様
- ハブ:DT SWISS 350 28H
- スポーク:DT SWISS #14 プレーン チャンピオン
また、左右スポークテンションを近づけるため、フロント:逆イタリアン/DS3クロス/NDS2クロス、リア:JIS組/DS2クロス/NDS3クロスでアセンブルしています。
本車体は、ハブに「DT SWISS 350」を用いましたが、「EQUAL ディスクハブ」も候補に挙がります。オートプリロード機構が備わっておりメンテナンス頻度が抑えられているのが特徴。2024/11月のランニングチェンジで、フリーボディのベアリング数が2→4個へ改良、28H仕様も追加されたのも理由です。薄いアルミ製ボディの「はめあい」を見直されているのは、目立たないですがグッドポイントです。
タイヤ:Panaracer GRAVELKING R 700×28C × TPUチューブ |
前後タイヤは、コストを抑えながらシルキーな乗り心地を確保できる「Panaracer GRAVELKING R Tubed」。Rene Herse譲りの「TuffTex R」ケーシングを採用して、しなやかな走りを楽しめます。
願わくは、ターマック用に振り切ってトレッド厚を0.2mm薄くして、スリックパターンのモデルが登場してほしいところですが、それなら素直に同社の「AGILEST FAST」を選べとなるかと。なお、GRAVELKINGのチューブドモデルは、フックレスリムに非対応なのでご注意下さい。
新ETRTO準拠で呼び寸法は28cですが、内幅22mmのリムと組み合わせると実測30mmに。ターマック専用のハイエンドクリンチャーと比べると+20~50g/本ほど重いですが、バルーンなフィーリングゆえ、オープンクリンチャー好きな玄人ライダーにおススメしています。
依然として意見が分かれるTPUチューブですが、店主はネガティブなイメージはありません。ラテックスチューブなら、よりシルキーになりますがエアリークが早いのが面倒。結局のところ、ブチル/ラテックス/TPU/チューブレス論争は、運用コストや使用頻度etcでマッチするモノ選べば良いんじゃない?に帰結します。
前後ローター:Jagwire Pro LR2 Disc Brake Rotors φ160 6H |
コースや天候に左右されない制動力を重んじるなら、ローター径は前後φ160をお勧めしています。体重やスキルによっては、リアのみφ140は有りです。ローターは、純正品をお勧めしています。ロード専用としてのシマノ初代モデル「SM-RT900」ローターは、加熱時の形状ロバスト性に乏しかったですが、熟成された「RT-CL900」では、まず不満は出ないかと。
一方で、シマノ含め業界的にセンターロックへ移行が進んでおり、「6穴(=6H/6ボルト)」仕様のローターの新しいモデルは殆どありません。性能/価格/重量がバランスした6穴ローターとして、「Jagwire Pro LR2 Disc Brake Rotors | ジャグワイヤー プロ エルアールツー ディスクブレーキローター」を挙げています。
また、雨や悪天候でも走るライダーには、ブレーキパッドは「メタル」を推奨しています。音鳴りはし易いですが、バッドコンディションでの制動力と耐摩耗性に優れているからです。ちなみにWET条件下の制動力は、シマノさん情報だとメタル100%とすると、レジン60-70%、リムブレーキ20-40%と謳われています。
色々と試行錯誤を経てみると、パーツ構成含めて最新の「Cannondale Synapse Carbon 1 RLE」等のエンデュランスバイクに終着するので、最初からそれらモデルを購入されたほうが経済的ですよというオチになります。