Honda Fastport ブース |
2025年6月下旬、ドイツ・フランクフルトで開催された「EUROBIKE 2025」へ出張してまいりました。2018年頃から、店主が予見していたのが、「E-PMV / Electric - Personal Mobility Vehicle」への自動車・二輪メーカーの本格参入。それと「e-Palette」に代表される実店舗の移動型への将来的な移行です。
前者に関して、徐々に各社取組みが形となり見えだしてきており、本ショーにおけるトピックの一つが、EUROBIKE直前にHondaから発表された「Fastport eQuad」です。
Honda Fastport eQuad |
Honda Fastport eQuad |
Honda Fastport ブース |
Hondaブースに展示されていたプロタイプは、「MUBEA U-MOBILITY CARGO」と似た車体構成。現在は、法規や航続距離の制約から他社同様に「人力+電動アシスト」のハイブリッドシステムを採用しています。ペダルバイクの弱点を補う理にかなった駆動方式ですが、どうしてもシステムが複雑になりコストが嵩みます。
全固体電池が2035~2040年に実用化され自動車や家電と共に普及が進めば、航続距離の心配はほぼなくなります。自動運転カーとの共存も現実味を帯びる中、このようなマイクロコミューターはペダルレスのシンプルなE-PMVが主流になるだろう、と店主は予測しています。
CIXI | active vehicle 「VIGOZ」 |
こちらもEUROBIKE 2025で正式披露された「CIXI | active vehicle VIGOZ」。Lean Mobilityの「Lean3」(旧 TOYOTA i-ROAD)によく似た車体ですが、リカンベントのような姿勢でペダリングする電動アシスト式のPMVで、2026年に初回納車を目指すとのこと。
VIGOZの特徴
- PERS/Pedaling Energy Recovery System:チェーンレスでペダル操作が電動推進に直結。逆回転で減速や後退も可能。
- 高速道路対応:L5カテゴリーに分類され、法的に高速道路走行が可能。
- 航続距離:22kWhバッテリーで最大160km。家庭用220Vコンセントで約6時間でフル充電。
- 安全性と快適性:
- アクティブ傾斜機構によりコーナリング性能向上
- 衝突安全設計、HVAC(空調)システム、IsoFix対応
- 二人乗り可能(後部座席あり)
Dynamic Drives Giessen | INTELECTRA E-Cargo L |
Dynamic Drives Giessen | INTELECTRA E-Cargo L コクピット |
「INTELECTRA E-Cargo」は、ドイツのスタートアップ「Dynamic Drives Giessen」が開発した都市型モビリティ向けの4輪電動カーゴバイクで、従来の自転車の枠を超えた設計思想が光ります。特徴は下記の通り。
- ペダル・バイ・ワイヤ方式(iSHS):チェーンレスで、ペダルの動力を電力に変換し、後輪のモーターを駆動。油汚れやメンテナンスの手間が激減します。
- 4輪構成で高い安定性:都市部の混雑や荷重時でも安定した走行が可能。サスペンションも調整可能で快適性を確保。
- モジュラー設計:LとXLの2サイズ展開。XLはユーロクレート8個分の積載が可能。最大積載量は約450kg(乗員含む)。
- バッテリーと航続距離:1,400Whの交換式バッテリーで、最大約93kmの走行が可能。充電時間は約1.5時間。
- 法的分類:Pedelec(電動アシスト自転車)扱いのため、免許不要。最高速度は25km/h。
この車両は、自転車と小型トラックの中間的存在として、都市の物流や移動のあり方を再定義する可能性を秘めています。
MOVARIA ブース MUBEA U-MOBILITY CARGO 車体 |
「MOVARIA」はドイツ・ミュンヘンに拠点を置く企業で、カーゴEバイク向けのパワートレイン技術に特化したモビリティ・テックブランドです。都市のラストマイル物流や持続可能な交通の未来を支える裏方的存在とも言えます。
自社ブランドを持たず、OEM向けの柔軟なモジュール提供を事業の主軸にしており、MUBEA等の他社カーゴバイクメーカーに対してパワートレイン一式を提供しています。
ECCOV ブース トゥクトゥクに似た3輪マイクロモビリティ |
「ECCOV INC.」は、韓国・現代自動車グループからスピンオフしたスタートアップ企業。同社は、自社ブランドeカーゴバイク「EMPA」を展開。モジュラー構造の車体プラットフォームが特徴で、用途に応じて車体構造を柔軟に構成を変更できます。また、モジュール交換による迅速な修理・再稼働も可能になっています。
EUROBIKEは、2022年のフランクフルト移転以降、都市型かつ未来志向の方向性へと転換が図られました。これに伴い、電動アシスト型のマイクロモビリティ関連企業の出展が目立つようになっています。この傾向は、程度の差こそあれ台北や上海の各ショーにも共通して見られ、CESやIAA MOBILITYとの棲み分けが、今後一層難しくなっていく可能性があります。
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