2025年2月4日火曜日

結局、ミニVブレーキ搭載 ロードバイクが最適解なんじゃない? 徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その12

カンチブレーキ台座

舗装路をラクに安全かつ速く走破するなら、「カーボンフレーム+油圧ディスクブレーキ+電動シフト+カーボンホイール+ワイドタイヤ」を装備した、最新のロードバイクが正解なのは間違いありません。

ただ、自転車はあくまで「道具」ゆえ、全ての用途や乗り方にマッチすることはなく、得手不得手があります。その一つが自転車を分解してパッキングする「輪行」が挙げられるかと。

ディスクブレーキ・ロード黎明期と比較して、現在は対応するグッズも増えて、ノフハウも蓄積されて来ましたが、やはりローター曲がりやパッドクリアランス再現性には気を使います。

輪行の容易さや持ち運びを重視するなら、フォールディングバイク(折り畳み自転車)を選択しますが、旅先でそこそこの距離&速度で乗るなら、車輪径が大きいロードバイクやグラベルバイクが合理的です。

それなら、従来のキャリパ式リムブレーキ・ロードバイクで良いんじゃないの?と言うのはごもっともですが、フレームやブレーキクリアランスからタイヤ幅が23-28mmに制約されます。

最新バイクに慣れた身体には、7Barのピーキーさや制動力の頼りなさは正直シンドイところ。ブレーキキャリパに限って言えば、クリアランスが大きい飛び道具的な「Ciamillo L8 ULTRA」もありますが…。

COLNAGO/コルナゴ C68 RIM MY2025 フロントブレーキ台座

広めなクリアランスと言えば、リムブレーキ最終期に投入された「ダイレクトマウント」を思い浮かべる方も多いかと。タッチの良い「キャリパブレーキ」と、クリアランスが稼ぎやすい「Vブレーキ(リニアプル)」を合体させたとも言える新規格です。

直近では、世界100台限定で生産される「COLNAGO/コルナゴ C68 RIM MY2025」で採用され、仕様を見ると許容最大タイヤ幅は実寸32mmと謳われてます。ただ、専用台座が必須でディスクブレーキ化のうねりの中、本規格は忘れ去られてゆく運命になりそうです。

All-City Cycles/MR.PINK

話を一般的なキャリパブレーキに戻すと、例外的に、ロングアーチ仕様で32mm程度まで許容した過去の名車「ALL-CITY MR.PINK」が挙げられますが、そんなバイクはごく一部。この汎用性の高さは、バイクギークであるJeff Franeの面目躍如と言えるかと。ちなみにMR.PINK、フロントフォークを軽量な「Whisky Parts Co. NO.7 CARBON QR RD+」へ交換すると、グッと現代的な乗り味になります。

あと、リムブレーキで太めなタイヤが履かせられる現行ロードバイクで穴馬として挙げられるのが、「Cannondale CAAD Optimo 3」。ブレーキキャリパはショートリーチ仕様ながら、フレーム&フォークの懐が深めにデザインされていて、フェンダーレスなら30-32mmぐらいまで飲込めます。エントリーグレードですが、ベテラン勢の2ndバイクとしても「いいセンスだ」の一台としておススメです。

こんなことをグダグダ綴っていると、年配ライダーからは、伝統的なランドナーやスポルティーフを選択すれば良いんじゃないの?と、至極真っ当なご意見を頂きそうですが、そこは少々拗らせた店主。ピチピチから肩肘を張らない自転車遊びまでハマって、モーターサイクルの「カフェレーサー」みたいな、軽快で使い勝手も両立できるような1台を妄想するのです。

パナソニック FCXCC03 シクロクロス クロモリ(写真:同社WEBサイトから)

すると、知識人から届くであろう、カンチ台座が付いたCX(シクロクロス)バイクがあるじゃない?。パナソニックサイクルテックさんが「FCXCC03」を継続生産しているし…なのは、ごもっとも。ちなみに当店POS扱いはありませんが、同社製クロモリCXを購入検討されるならディスクブレーキでは無くて、カンチブレーキ仕様をおススメします。

2010年代後半までは、「ALAN BIKES/SUPER CROSS ERGAL」等の魅力的なバイクもありましたが、現在もカンチブレーキ仕様のCXバイクを流通させているのは、大手では上記パナさんと東京サンエスさんが筆頭に挙がるぐらいかと。ただ、両者ともにCX伝統ジオメトリを踏襲しており、分かり易いところだと「33mタイヤ基準&高めなBBドロップ60mm」なのが引っかかります。

それぐらい慣れの範疇。速い奴は何に乗っても早いし、上手い奴は何に乗っても上手いと言われるとぐうの音も出ませんが、ツーリングバイクなら70~75mm程度のBBドロップを基準に設計した方が扱いやすいと店主は考えます。まあ、その値も想定される基準タイヤ径やクランク長で上下するのですが。

All-City Cycles/Space Horse(写真:同社WEBサイトから) 

カンチ台座付のバイクなら、万能選手の定番「SURLY CROSS CHECK」を筆頭にされる方も多いと思いますが、ジオメトリがCX寄りで、どちらかと言うと短距離/ストップアンドゴー向き。ジオメトリで店主理想に近いのは、ディスコンの「All-City Cycles/Space Horse」で、悔しいですがJeffは二手三手先を行っているのです

ちなみにそのJeff。現在はWilde Bikesファウンダーの一人で、「Space Horse」の後継モデル「Sugar Foot」も展開しています。あと、最大タイヤ幅50mmはToo Muchですが、「Black Mountain Cycles / Monstercross」も似た設計思想が伺えます。

最近、当店をご利用頂いたベテランサイクリスト数名とも同様な話になって、結局行き着く処は同じになるんだなと妙に合点が行った次第。

ミニVブレーキ

長々と回りくどく書いて、最初に結論を述べよと怒られそうですが…。非レース/ライトツーリング用途なら、ロードバイクとランドナーの中間、今で言うオールロード/エンデュランスロードのジオメトリを踏襲して、700Cの30~40mm幅タイヤが履け、カンチブレーキ台座が付いた自転車が一番使い勝手が良いんじゃないかと店主は思うのです。

まず、ブレーキですが、古のカンチだと制動力が心許ないので、ミニV(=コンパクトV、アーム長84~85mm)が現実解。2000年代には、Campagnoloも「VELOCE リニアプルブレーキ(おそらくTEKTRO製)」をラインナップしていましたが、各社共に選択肢は絞られています。

余談ですが、店主は出来の悪いワイヤ引き(機械式/メカニカル)のディスクブレーキを使うぐらいなら、Vブレーキを選ぶと以前からお伝えしてきました。

シマノ BR-R353
鉄板のシマノですが、上位105クラスのBR-R573は既にディスコンで、現在はBR-R353のみに。ただ、どちらもアーム長が90mmなので、ドロップハンドル用STレバーと相性がイマイチ。ちなみに、レバー比を変更できるカムローラやトラベルエージェントの類は、物理&構造的な理由から当店ではお勧めしていません。

名作「TRP CX8.4」も生産を終えておりプレミアム価格に。「PAUL COMPONENT MiniMoto」は少々やり過ぎだしな~と、他に良いブレーキは、無いものかと探してたところ。2024年夏に開催された業界向け展示会で、サンプルを見て店主が鼻息を荒くしたのが⁡「DIA-COMPE BA85 / BA85EX」。カンチ仕様のCXバイクで、レースに出場している方にも朗報の一品かと(泥掃けは悪くなりますが)。

東京サンエスさん カタログより

そして、肝心のフレーム&フォーク。重量や造形の自由さを考えるとフルカーボンが理想ですが、こんなニッチなモデルに開発&金型コストを掛けては採算が取れません。そうなると、消去法的に「アルミorスチールフレーム+カーボンフォーク」の組み合わせへ落ち着きます。

フロントフォークは、カンチ台座付きを台湾や大陸工場から探すのも一手ですが、市場は既にディスクブレーキに移行していて大きなロットを積まざる得ず、CXバイクの雄、Ritcheyの「WCS Carbon Cross Canti Fork」もディスコン。結局は東京サンエスさん頼みになりそう。

個人的には、1990年代半ば~2000年初頭のアルミロード全盛期に用いられた「薄肉大径/バリカタ」なチューブを用いたフレーム。それに35C前後のタイヤを組み合わせると面白いんじゃないかと思っています。

リムブレーキでも機械構造的には、前後スルーアクスルが正しくて走行面でも恩恵が大きいですが、ハブ選択肢が非常に狭くなるのでドロップエンドはQRに。また、フレームがスチールなら、フォークは「1-1/8"」のストレートコラムが前後の剛性バランスが取れそうです。

そんなこんなで、枯れた玄人向けの「カンチ台座付・オールロード」を構想設計中です。どのように着地できるかは読めませんが、ご興味のある方は、お問い合わせくださいませ。あと、極小ロットでもフレーム製作してくれる工場をご存じでしたら、アドバイス下さい。

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お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。