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| Vブレーキ・オールロードバイク CAD図面 |
2025年9月25日木曜日
Vブレーキ・オールロードバイクを構想設計する 徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その13
2025年2月4日火曜日
結局、ミニVブレーキ搭載 ロードバイクが最適解なんじゃない? 徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その12
| カンチブレーキ台座 |
舗装路をラクに安全かつ速く走破するなら、「カーボンフレーム+油圧ディスクブレーキ+電動シフト+カーボンホイール+ワイドタイヤ」を装備した、最新のロードバイクが正解なのは間違いありません。
ただ、自転車はあくまで「道具」ゆえ、全ての用途や乗り方にマッチすることはなく、得手不得手があります。その一つが自転車を分解してパッキングする「輪行」が挙げられるかと。
ディスクブレーキ・ロード黎明期と比較して、現在は対応するグッズも増えて、ノフハウも蓄積されて来ましたが、やはりローター曲がりやパッドクリアランス再現性には気を使います。
輪行の容易さや持ち運びを重視するなら、フォールディングバイク(折り畳み自転車)を選択しますが、旅先でそこそこの距離&速度で乗るなら、車輪径が大きいロードバイクやグラベルバイクが合理的です。
それなら、従来のキャリパ式リムブレーキ・ロードバイクで良いんじゃないの?と言うのはごもっともですが、フレームやブレーキクリアランスからタイヤ幅が23-28mmに制約されます。
最新バイクに慣れた身体には、7Barのピーキーさや制動力の頼りなさは正直シンドイところ。ブレーキキャリパに限って言えば、クリアランスが大きい飛び道具的な「Ciamillo L8 ULTRA」もありますが…。
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| COLNAGO/コルナゴ C68 RIM MY2025 フロントブレーキ台座 |
広めなクリアランスと言えば、リムブレーキ最終期に投入された「ダイレクトマウント」を思い浮かべる方も多いかと。タッチの良い「キャリパブレーキ」と、クリアランスが稼ぎやすい「Vブレーキ(リニアプル)」を合体させたとも言える新規格です。
直近では、世界100台限定で生産される「COLNAGO/コルナゴ C68 RIM MY2025」で採用され、仕様を見ると許容最大タイヤ幅は実寸32mmと謳われてます。ただ、専用台座が必須でディスクブレーキ化のうねりの中、本規格は忘れ去られてゆく運命になりそうです。
| All-City Cycles/MR.PINK |
話を一般的なキャリパブレーキに戻すと、例外的に、ロングアーチ仕様で32mm程度まで許容した過去の名車「ALL-CITY MR.PINK」が挙げられますが、そんなバイクはごく一部。この汎用性の高さは、バイクギークであるJeff Franeの面目躍如と言えるかと。ちなみにMR.PINK、フロントフォークを軽量な「Whisky Parts Co. NO.7 CARBON QR RD+」へ交換すると、グッと現代的な乗り味になります。
あと、リムブレーキで太めなタイヤが履かせられる現行ロードバイクで穴馬として挙げられるのが、「Cannondale CAAD Optimo 3」。ブレーキキャリパはショートリーチ仕様ながら、フレーム&フォークの懐が深めにデザインされていて、フェンダーレスなら30-32mmぐらいまで飲込めます。エントリーグレードですが、ベテラン勢の2ndバイクとしても「いいセンスだ」の一台としておススメです。
こんなことをグダグダ綴っていると、年配ライダーからは、伝統的なランドナーやスポルティーフを選択すれば良いんじゃないの?と、至極真っ当なご意見を頂きそうですが、そこは少々拗らせた店主。ピチピチから肩肘を張らない自転車遊びまでハマって、モーターサイクルの「カフェレーサー」みたいな、軽快で使い勝手も両立できるような1台を妄想するのです。
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| パナソニック FCXCC03 シクロクロス クロモリ(写真:同社WEBサイトから) |
すると、知識人から届くであろう、カンチ台座が付いたCX(シクロクロス)バイクがあるじゃない?。パナソニックサイクルテックさんが「FCXCC03」を継続生産しているし…なのは、ごもっとも。ちなみに当店POS扱いはありませんが、同社製クロモリCXを購入検討されるならディスクブレーキでは無くて、カンチブレーキ仕様をおススメします。
2010年代後半までは、「ALAN BIKES/SUPER CROSS ERGAL」等の魅力的なバイクもありましたが、現在もカンチブレーキ仕様のCXバイクを流通させているのは、大手では上記パナさんと東京サンエスさんが筆頭に挙がるぐらいかと。ただ、両者ともにCX伝統ジオメトリを踏襲しており、分かり易いところだと「33mタイヤ基準&高めなBBドロップ60mm」なのが引っかかります。
それぐらい慣れの範疇。速い奴は何に乗っても早いし、上手い奴は何に乗っても上手いと言われるとぐうの音も出ませんが、ツーリングバイクなら70~75mm程度のBBドロップを基準に設計した方が扱いやすいと店主は考えます。まあ、その値も想定される基準タイヤ径やクランク長で上下するのですが。
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| All-City Cycles/Space Horse(写真:同社WEBサイトから) |
最近、当店をご利用頂いたベテランサイクリスト数名とも同様な話になって、結局行き着く処は同じになるんだなと妙に合点が行った次第。
| ミニVブレーキ |
長々と回りくどく書いて、最初に結論を述べよと怒られそうですが…。非レース/ライトツーリング用途なら、ロードバイクとランドナーの中間、今で言うオールロード/エンデュランスロードのジオメトリを踏襲して、700Cの30~40mm幅タイヤが履け、カンチブレーキ台座が付いた自転車が一番使い勝手が良いんじゃないかと店主は思うのです。
| シマノ BR-R353 |
名作「TRP CX8.4」も生産を終えておりプレミアム価格に。「PAUL COMPONENT MiniMoto」は少々やり過ぎだしな~と、他に良いブレーキは、無いものかと探してたところ。2024年夏に開催された業界向け展示会で、サンプルを見て店主が鼻息を荒くしたのが「DIA-COMPE BA85 / BA85EX」。カンチ仕様のCXバイクで、レースに出場している方にも朗報の一品かと(泥掃けは悪くなりますが)。
| 東京サンエスさん カタログより |
そして、肝心のフレーム&フォーク。重量や造形の自由さを考えるとフルカーボンが理想ですが、こんなニッチなモデルに開発&金型コストを掛けては採算が取れません。そうなると、消去法的に「アルミorスチールフレーム+カーボンフォーク」の組み合わせへ落ち着きます。
フロントフォークは、カンチ台座付きを台湾や大陸工場から探すのも一手ですが、市場は既にディスクブレーキに移行していて大きなロットを積まざる得ず、CXバイクの雄、Ritcheyの「WCS Carbon Cross Canti Fork」もディスコン。結局は東京サンエスさん頼みになりそう。
2025年1月3日金曜日
ワイヤ/ケーブル/ホースのコクピット&フレームフル内蔵化による 44mm HT/ヘッドチューブ 回帰の流れ 徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その11
| アルミフレーム 44mm HT/ヘッドチューブ インターナル・ケーブルルーティング |
2020年前後から、エアロダイナミクスを訴求するロードバイク拡大に伴って、コクピット周りのワイヤ/ホース/ケーブルがフル内蔵されるモデルが増えました。電動変速+油圧ディスクブレーキ化の副産物も言えますが、メンテナンス性はともかく、とにかく見た目はスッキリするので、この流れは後戻りすることは無いでしょう。
| デルタステアラー |
ホース&ワイヤルートを確保する手段として、カーボンバイクは、従来からのテーパードヘッドをベースにDシェイプコラム/デルタステアラーと組み合わせる独自規格のほか、大径BRG+C型コンプレッションリング等で対処されています。
その一方、カーボンと比べて造形の自由度が低いアルミやスチールバイクは、現在標準的に用いられているテーパードヘッドチューブだとケーブルを逃がすことは困難。また、上記のような異形ステアチューブは、高コストゆえ採用が難しい側面もあります。
店主が訪問した台北/台中/上海ショーで、2023年頃からそれらを踏まえた現実的な落としどころが見え始めたのが、「テーパードチューブ(HT)→44mmHT」の採用。アッパーが冒頭写真のようなゼロスタックと、下記Wolf Toothのようなアウトボード式が挙げられます。
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| Wolf Tooth Premium Internal Headset for ENVE IN-Route System 同社WEBサイトから |
ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える 関連ポスト
お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。
2024年7月13日土曜日
トルク付加時の後輪の舵角 「PROFORMAT」と「KINGPIN」シートチューブのコンプライアンス 徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その10
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| 「Kingpin Suspension」を有する Cannondale Topstone Carbon |
2024年5月をもって幕を閉じた自転車ウェブメディア「La route」さん。その中の「ピーター・デンクとプロフォーマットと本田さんのニシキ」を読んで、ディスクブレーキ&スルーアクスルが標準規格になった現代ロードバイクのフレーム設計思想を考えてみようかと。
上記ポストは、バイシクルクラブ初代編集長の故・佐藤晴男氏が執筆された1991年の同誌記事、「走る自転車 走らない自転車」の紹介から始まります。
- ウィップをなくせば(剛性を上げれば)パワーロスは防げるが、人間が踏み負けてしまう。
- ウィップは必要だが、BB部の変形は後輪に舵角を付けてしまい、無視できない走行抵抗を生む。
「後ろを引きずるような印象のフレームは、踏み込んだときに後輪に舵角が付き、後輪の転がり抵抗が増大しているからではないか」…と言った内容で、ニシキ・エレベーテッドチェーンステーやアンカー・プロフォーマットを引き合いに出されて安井氏が考察されてます。
チェーンジャムを防ぐために、1989年前後にRichard Cunninghamが発案したエレベーテッドチェーンステー。一世を風靡したこのフレームデザインに関しては、こちらのnoteに遷移が記されています。
2.PROFORMAT
近年のCannondale・ロードバイク、「SuperSix EVO/CAAD13/Synapse/Topstone」が走行性能と快適性を両立させていることで高い評価を得ています。
共通しているのは、「シートチューブ」を意図的にたわませる「コンプライアンス」機構で、分かりやすいのが「Topstone Carbon」の「Kingpin Suspension」です。元は空力改善が謳われ、現代のロードバイクで多く採用される「ドロップシートステー」ですが、その形状を利用してシートチューブを「く」の字にたわませるアイデアです。
意図的に屈曲点を設けて、横方向ではなく縦方向にたわませることで、「PROFORMAT」同様に後輪舵角を抑えていると推測されます。やり方は違えど、TREKの「IsoSpeed/IsoFlow」も同じ狙いかと。
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2024年4月27日土曜日
厚底シューズとロードバイク 高騰化する機材価格の共通点 徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その9
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| Youtube:為末大学 厚底探求の旅〜厚底伝来編 「靴は宗教だ!」より |
シマノが、ロードバイク向けディスクブレーキ・コンポーネントを上市した当時。店主は、過去のMTB歴史や工業製品の技術動向から、「ディスクブレーキ/ワイドタイヤ/チューブレス」が主流になることは避けられないと予見しており、ほぼその通りの流れで現在に至っています。
さて、話変わって。ポッドキャストやYoutubeをながら聞きする店主、最近興味深かったのは、「為末大学 厚底探求の旅〜厚底伝来編 「靴は宗教だ!」」が挙げられます。自身はランニングシューズに知見が無く、「厚底」の流行程度しか知らなかったのですが、聴いていて「厚底シューズ=エアロ&ディスクブレーキ・ロードバイク」、「川内優輝選手=RX高岡選手」へ置き換えると、近年の国内自転車界と同じ構図に見えてきます。
この「厚底探求の旅」シリーズは、軽妙なトークの掛合いが面白いのですが、別のエピソードで「厚底化に伴い、ランナーの故障個所やトレーニング方法が変わってきた」とあって、自転車もディスクブレーキだと壊れるところが異なるわ~と思ったり。
その一方、上記シリーズに加えNumber記事の「國學院大・平林清澄はなぜ初マラソン日本新を出せた?…記録続出“超厚底シューズ”を選ばなかったワケは168cm、44kgの「超軽量ボディ」にあり」のように、厚底シューズが全てのランナー向けでないのと同様、全てのトレンド例えばショートクランクは、万人にマッチしないのでは?と店主は捉えています。
振り返ると1990年頃までは、ギア比制約もあってグランツール等の超級山岳コースでは、クランク長を伸ばす選手もいました。店主自身は、2000年頃にショートクランクを試した経緯があります。標準クランク長165mmのママチャリで、鬼漕ぎした時の感覚が良かったのがキッカケでした。
同じクランクで、165/167.5/170mmと替えて実走してみると、165mmは平地のフィーリングは確かに良かったのですが、登りはトルク不足が露見して使い物にならず、167.5 or 170mm選択するに至ります。当時と比較して、ギア比の選択肢は格段に拡がりましたし、楕円チェーンリングと組み合わせるとソリューションがあるのかもしれません。
さて、昨今のロードバイク旗艦・ハイエンドモデルは、高騰化が進んで200万円/台も珍しくなりました。ランニングシューズも同様で、ワンレースしか持たない8万円のモデルも販売されています。
陸上界と自転車界で、このような機材高騰につながった理由の一つに、公式レースでの使用機材は市販品に限るとルール化されたことが挙げられるかと。利権側面もある自転車で言う「UCI承認」です。
陸上エリートランナーが、「匠・名工」が手掛けたビスポーク&スペシャルチューンされたシューズを履いていたのは有名な話です。自転車ロードレースも同様にメタルフレーム時代は、Litespeed/PASSONI/Merlin等で製作されたフレームがスポンサーロゴでカモフラージュされ、レースで目にすることがありました。
カーボンフレームが主流になってからは、特にツールドフランス等の注目度の高いレースでは、プロモーション費用が投じられ、同じ外観だけどカーボンレイアップが異なる1~数レース持てば良いといった特別レシピにて伊S工房等で作られ、エース級に供給されていたのは公然の秘密でした(現在も皆無とは言い切れませんが…)。箱車・レースカーの中身が市販車と全く違うのと似たようなものかと。
このように、以前までは「市場に出ない極々一部のエリート用」と「市販品」で暗に境界線があったものの、ルール改訂でそれが溶け、市販品・上位モデルの価格が上昇、結果的に全体的に引っ張られる形となったというのが店主見立てです。勿論、複合的な理由は挙げられるのでしょうが。
お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。
2023年5月11日木曜日
闇雲にワイドタイヤ対応できないフレーム設計 徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その8
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| ロードバイク ジオメトリ考察 |
元来、小柄な日本人には700Cホイールは大きすぎるというのは、リムブレーキ時代から知られており、ザックリ言うと身長163cm/股下73cm/ホリゾンタル480mm以下なら、650Cホイールのほうが、理想的なフレームジオメトリが確保できます。その辺りに着目したマスプロモデルとして、tokyobikeやTern Rojiが挙げられます。
その一方、650Cはタイヤ&リム等の選択肢が少なく、また、走破性や転がり抵抗は車輪径が大きいほうが有利と言った面もあり、市場にあるロードバイクの殆どが700C規格を採用してます。
さて、ディスクブレーキ化された現代のロードバイク。リムブレーキ時代にあったキャリパブレーキのクリアランス制約から解き放たれたこともあって、2020年ごろからワイドタイヤ化が進みました。
振り返ると、リムブレーキ時代はスチール→アルミ→カーボンのフレーム素材遷移に沿って、タイヤ幅は19~21→23→25mmと10年刻みで徐々に変化して来ました。ただ、ここ2~3年でスルーアクスルによるフレームねじれ剛性UP/ワイドリム化の背景もあって、28~32mmと一気に加速。
それなら、大は小を兼ねて、ワイドタイヤが入るロードバイクに一本化すれば良いんじゃないの?思われるかもしれませんが、闇雲にできない理由があるのです。分かりやすいのが、チェーンステー周りの「リアタイヤ/リング/FD」スペース取り合いで、タイヤクリアランスを大きくすると、チェーンリングサイズに制約が生まれます。
180cm超のライダーだと、フレーム設計に自由度があるのでワイドタイヤ化による影響は軽微ですが、175cm以下だと理想的なジオメトリ確保が難しくなって、165cm以下になると顕著になります。まあ、いざ乗ってしまえば、慣れの範疇ではありますが…。
リーチ(P)やスタック(O)と言った指標もありますが、今回は分かりやすくするため、それらには触れずに話を進めます。
ヘッド角やフォークオフセットで稼ぐにも限度があるので、トップチューブ(B)を伸ばしてフロントセンターを確保する流れに。言わずもがなハンドルは遠くなるので、短めなステムorリーチのハンドルで合わせるしか無いのですが、そうするとハンドリングに変化が生じます。
また、ワイドタイヤ対応でリアセンターも自ずと延長されるので、総和のホイールベースは伸びて旋回性が損なわれます。リアセンターを維持しながら、ワイドタイヤを収めるには「出っ張りが少ない電動FDのみ or フロントシングル」となり、結果的に29er・MTB同様の落としどころになってしまいます。
想定タイヤが25→30Cへの変化に伴って、BBドロップ(K)は65~70mm→70~75mmと大きくなり、後ろ側の地上高(L)を保つよう設計されてます。
一方の前側。大径化したタイヤ(Q)+伸びたフォーク肩下長(R)の積み上げで、ハンドル高さは2~3cm上がります。ハンドル高さは、前下がりステム等で何とか帳尻を合わせることができます。ただ、トップチューブ前側の高さは上がったままです。
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| SuperSix EVO:公称最大タイヤ幅30C |
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| Synapse Carbon:公称最大タイヤ幅35C |
※各パーツの詳細&セッティングに関するご質問は、当社ノウハウもございますのでご遠慮ください。
お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。
2022年10月4日火曜日
ロードバイク エアロダイナミクスの行き着く先 Apple Glass 頼みが透ける未来 徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その7
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| SILCA MENSOLA COMPUTER MOUNT road.cc/twitterから |
MY2023の発表が進む今日この頃。ロードバイクのここ最近のトレンドを振り返ってみると、MY2015-2016頃から続くのが「エアロダイナミクス/空気抵抗低減」。後半のMY2018-2019からは、それに「ディスクブレーキ」も加わり、「ディスク+エアロ」がメインストリームに。
従来、トレンド推移は4-5年でエアロ⇔軽量の反復でしたが、その傾向に反してエアロが続いているのが現状です。理由は、ディスクブレーキ導入によりリムブレーキ対比で重量的に不利になり、新モデルの特徴として訴求しにくくなったことが挙げられます。
2000年頃から、金型で起こされるカーボンフレームがレース標準になったことで、ジオメトリの自由度が奪われ、ポジションやフォームを確保するために様々な形状(ドロップ&リーチ)を持ったハンドルが生産されるようなったのが、ここ20年の歴史かと。アルミ・ハイドロフォーミング技術が発達した側面もありますが…。トッププロだと、さらにワンオフのステムを用いて帳尻を合わせている現実もあります。
MY2023エアロ・ロードですが、これまでライダーの体格にマッチしたモデルを選べるように自由度が保たれてきたコクピット周りへ遂に手が付けられ、「幅狭/ハの字/翼断面ハンドル」を標準装備されるのが特徴に挙げられます。
ハンドルは、ライダー/Fホイール/Fフォークに次いで、CdA(主に前方投影面積)に影響するのは周知の事実でしたが、ライダーの好みやフィッティングを差し置いて、とにかく空気抵抗低減を訴求するフェーズに入った感。
無線シフト&油圧ブレーキ化の副産物、もしくはネタ切れとも読み取れますが、UCIルール改定で前腕をハンドル置くエアロポジションも禁止になった背景も。時代がアダム・ハンセンに追いついたとも言えます。
その一方、各電子部品のコストを現実的な価格に落とし込むには、市場サイズが必要ゆえ、結局のところスマホ普及の先鞭をつけたiphone同様に、スマートグラスも「Apple Glass」上梓頼みな面は否定できません。
後追いの二番煎じ、三番煎じの類似品で市場形成されれば、その後は、ヘルメット+アイウエア+スマートグラスがインテグレートされるのも時間の問題です。或いは、ディスプレイの替わりに、コクピットからホログラムを投影してアイウエアを介して見るのが現実的になりそうです。
全くの余談ですが、店主の学生時代、友人と高崎観音の前を通るたびに「ビッグち○こ」とキャツキャッしてたのは良い思い出です。
2022年7月4日月曜日
ロードバイク ロータータッチ ディスクブレーキ × フロントフォーク 不都合な真実 徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その6
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| イメージ(画像と記事本文は直接関係ありません) |
- ダウンヒル時→ローター発熱、不均一な熱膨張によって応力が生まれ歪む
- ホイール脱着後→ドロップアウト内面の平行度&平面度不足
- 立ち漕ぎ時→フォークの剛性不足
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| Road Bike Action Magazine READY FOR UNBOUND GRAVEL: SHIMANO’S GRX LTD. BIKE GALLERY より |
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| HOPE社 HB.T LAUNCHES より |
2020年10月30日金曜日
徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その5 クロモリ/スチール フレーム剛性バランス
| クロモリ/スチール・スルーアクスル・ロードバイク 東京サンエス OnebyESU JFF#701D 試作品 |
MY2018頃から登場した、エアロ/ディスクブレーキ/スルーアクスルの3要素を搭載したカーボン製エアロ・ロードバイクに乗られた方から「速い」や「進む」の感想をよく耳にしました。ついエアロ効果が注目されますが、一番効いているのは、「スルーアクスル」化によるホイール捻じれの抑制と店主は考えています。
ただ、スチールの場合は、薄肉なバデッド部やシートラグが無いことで圧縮応力に耐えられず、シートステーのシートチューブ接合部にクラックが入ることもあり、積極的に採用されることは減りました。シートポストが、補強材の一部を担っているという考えもあります。
2020年10月12日月曜日
ロードバイク ワイドリム&ナロータイヤ 試してみた DT SWISS CRC 1400 SPLINE | スプライン 24 db ETRTO 22.5×622 26Cタイヤ装着 徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その4
ふと、「ワイドリム+ナロータイヤ」の組合せをロードバイクで試してみたくなりました。このアプローチがが広く知られるようになったのは、Cannondale・エアロロード「SYSTEMSIX」かと。2018年の発表当時は、物議を醸しだしましたが、狙いはエアロ効果とエアボリュームUPの二つが挙げられます。
エアロ効果に関して、リムとタイヤの段差を無くして空気抵抗を下げるアイデア自体は、2012年にMAVICが「エアロフラップ CX01ブレード」で上市したりで着眼的に目新しくはありません。ただ、近年のディスクブレーキ普及によるタイヤ&リムのワイド化で、両者の外幅を揃える条件が整えやすくなって、ENVEやZIPP等も追従しています。
エアボリュームUPに関しては、リム内幅の拡大で空洞性が高まり、タイヤ外幅も呼び寸法よりも広がることで、快適性やトラクションの高まりが期待できます。店主としては、この効果がどれぐらいあるのかなと興味を持った次第。
ちなみに、SYSTEMSIX・HollowGram KNØT64ホイールの組合せをおさらいすると、外幅32mm/内幅21mmのワイドリムに23Cタイヤを装着して、実測幅は26mmになって、空気圧は低めな5~6Barが推奨されてます。
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| 断面積一定でナロー→ワイド化 断面二次モーメント/断面係数 比較 |
ワイドリム化は、ホイール剛性UPにも貢献します。ディスクブレーキ化でリムブレーキ時に必要だった摩耗マージンやブレーキ圧力対応が不要になって、リムを薄くすることが可能になります。少々乱暴ですが、中空長方形に単純化して、断面積一定でリム外幅を21→28mmへUPすると、剛性を表す断面二次モーメント/断面係数は10%向上します。ねじれを考慮すると、極断面係数で考える必要がありそうですが。
| 内幅比較22C/15C |
さて、今回は、とにかくリム内幅が広くて軽量なホイールを探しました。ハイトが高いディープリムが映えるのは重々承知していますが、そろそろトレンドがエアロ→軽量化にシフトするだろうと、名品「カンパニョーロ ハイペロン/CAMPAGNOLO HYPERON」の現代版みたいなDT SWISSのローハイト「CRC 1400 SPLINE」をセレクト。同じ系列で「CRC 1100 SPLINE T」もありますが、チューブラー用です。
実は、「CRC 1400 SPLINE」は、ロード用では無く、CX/シクロクロス向けホイール。前後セットの重量1389g、リム内幅22.5mmのワイド仕様。本国サイトの商品紹介では、「…同僚とのカジュアルなランチタイムのクロスライドに最適なホイールセットです」とありますが、前後で定価30万円オーバーな価格ゆえカジュアルとは?と考えさせられます(笑)。
まあ、「CRC/クロス ロード カーボン」ってモデル名だと、海外大手通販「Chain Reaction Cycles」の商品みたいですね。余談ですが、MY2021でクリンチャー/TLRの新モデル「PRC 1100 DICUT MON CHASSERAL/ダイカット 24 モン シャセラル」が発表され、DTスイス史上最軽量の1266gを達成していますが、リム幅は現代ロード用として標準的な18Cです。
2010年頃は、完組ホイールならマヴィック/シマノ/カンパ(=フルクラム)が御三家でしたが、知らぬ間にDT SWISSが割り込んできている感もあります。
| チューブレスもビードがスムーズに上がりそうなプロファイル |
おそらく、あまり知られていないだろう、このホイールセットですが、Bike Radarのレビューでも軽量&高剛性ホイールとして高評価を得ています。リム断面も今どきの形状で、チューブレスでもビードが素直に上がりそうですが、許容値を超えたナロータイヤを装着するので、チューブドタイヤを選択。ちなみにメーカーのタイヤ推奨幅は、ETRTOベースで32~50C。経験的には28Cぐらいまでが妥当な処かと。
| リム・デカール「MIN. TIRE SIZE:33MM」 |
そんなこんなで、内幅22.5mm/外幅28mmのリムに「IRC ASPITE PRO RBCC 700×26C」と「Tubolito」でセットアップ。クルマで言う「低偏平+引張りタイヤ」な組合せ。入気しても、タイヤ外幅はさほど径成長せず28mmでリムとツライチ。乗ってみると、軽量チューブレスレディの28~30cタイヤを嵌めた感じに近いというのが、ザックリしたフィーリング。
2020年4月13日月曜日
徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その3 フロントフォーク デザイン
| 下ワン径が大きいテーパードヘッドチューブ |
過去にポストしたその1・その2に続いて、ディスクブレーキ・ロードのフロントフォークデザインについて考えてみようかと。
フレーム全体の剛性バランスや設計アプローチは、各社エンジニアのノウハウですが、話を聞くと、おおよそリア周りの剛性をある程度決めて、いじり易いフロントフォーク周りをチューニングしていく手順じゃないかと推測しています。
ただ、ディスクブレーキを採用した当初のロードバイクは、前後バランスがチグハグなモデルも散見されたのも事実です。MY2019-2020以降は、各大手メーカーのカーボン/アルミフレームのディスクブレーキ・ロードバイクも第2~3世代になって、落としどころを抑えられてきてリムブレーキ時代の乗り味とは異なるけど、バランスが取れた製品が上市されてます。
フロントフォークは、ディスクブレーキ導入前から下ワン径が大きい「テーパードコラム/ヘッド」が採用されていました。この手法は、まずMTBで採用され、ロードバイクでもハイモジュラスカーボンが用いられだした頃から普及しました。
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| はね出し単純梁/先端集中荷重 日新産業(株)さんWEBサイトから |
フロントフォークは、大ざっぱにいうと「はね出し単純梁/先端集中荷重」構造なので、
せん断力とモーメントの掛かり方を考えると、このテーパード形状が構造的に理にかなっていることが理解できます。衝撃荷重が大きいMTBや、モーメントが掛かるディスクブレーキ搭載フォークの殆どがテーパード規格を採用しているのも頷けます。
こと、ブレーキ性能と操舵性のみを考えたら、フォーク周りの剛性は高いほど良いですが、そうなると前後の剛性バランスが取れませんし、ライダー疲労につながってしまいます。この流れで下ワンを大きくして、周辺強度やベアリング耐久性を確保しながら、しなやかさを演出する必要が出てきました。
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| キャノンデール・シナプス サイズごとにチューブ径やヘッドの上下ベアリング径が異なる シクロワイヤードより |
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| キャノンデール・トップストーンカーボン テーパードヘッドだが、フォークコラムはストレート形状 シクロワイヤードより |
1.Cannondale Synapseのようにフレームサイズ毎にチューブ&ベアリング径を最適化。FELT FRシリーズも同じ考え方です。
2.Cannondale Topsotone Carbonのように下ワンベアリングのみを大きくして、コラムはストレート仕上げ。ブリヂストン・アンカーのロングライドモデルRLシリーズも同じ手法を取っています。
おそらく、ロード/ターマック寄りグラベル/ツーリングバイクは重量増を嫌い、これらの方向性が継続されると思いますが、よりハードなライディングに対応したグラベルバイクは、結局のところサスペンションフォークに行き着いてしまうものと考えます。それなら、MTBで良いんじゃね?の矛盾もはらむのですが。
お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。
2018年12月31日月曜日
徒然なるままに ロード用 ディスクブレーキの今後の動向を考える その2 バイシクルクラブ 2018/12月号 掲載頂きました
店主自身が取材されたことを忘れていて、嗅覚鋭いお客様に突っ込まれて思い出したのですが、バイシクルクラブ/BiCYCLECLUBの2018/12月号で当店を掲載頂きました。ご近所のTOKYO WHEELSさんさんのご縁でしたが、ありがとうございます。amazon kindle unlimitedユーザーなら、バックナンバーも無料で読めるようです。
その誌面でもインタビューされたり、過去のポストが業界筋やごく一部のマニアックな方から好評だったので、調子に乗ってロード用 ディスクブレーキの今後の動向を徒然になるまま述べてみようと。
1.ロードバイク用の油圧ディスクブレーキの世論が変わった2018初夏
ロードバイク用の油圧ディスクブレーキをシマノがデリバリー開始した直後から、店主は将来的にそれがスタンダードになりますよとお客様に案内していました。ただ、エンドユーザーの反応は半信半疑で、否定的なイメージを持っている方も多かったです。
世論の風向きがガラッと反転したのは、2018/6-7月頃。TREKとSPECIALIZEDの大手2社のMY2019フラッグシップモデルがディスクブレーキ設定のみと発表したのが大きかったな~というのが実感。まあ、店主の影響力など所詮そんなものです。
2.スルーアクスルだとスチールとチタンは過剛性?
先述のバイクラ誌面でもちょっと話したのですが、補足すると…。油圧ディスクブレーキは、スルーアクスル方式がマスト。リア軸とブレーキ台座の幾何公差/直角度を確保するには、ドロップアウトと台座は一体にしたい。そうすると、相対的にチェーンステーのパイプ長は短くなり、しなりにくくなる。断面係数的には、パイプのほうがねじり剛性は有利ですが、設計の自由度が減るというのが大きい。
| Ritchey OUTBACK リアブレーキマウント |
スチールでも出来るだけドロップアウトを小さくして、パイプ長を稼ぐアプローチをしているのモデルもあります。例えば、Ritchey OUTBACKやNiner RLT 9 Steel
で両者ともグラベルロードバイクですが、台座周りもパイプで構築されています。ちなみにNinerはKonaで使われているディスク台座小物と同様かと。
3.スルーアクスルチューニング
E-BIKEやエンデュランス系ロードは、路面追従や振動吸収を高めるため、将来的にサスペンションが装備される可能性が高いですが、過渡的にバックステーをより積極的にたわませるアプローチが取られると予想されます。
そうすると、左右チェーンステーが捻じれる動きにつながり、それをつなぐスルーアクスルに荷重がかかり、φ12のアルミ製アクスルだとネジ山がだめになったり、金属疲労が露呈しそうです。まあ、過度なステーねじりは推進スポイルになるので加減が要りますが。
ならばいっそのこと、RDやディスクキャリパをフローティングさせて、アクスル端にピロボールかな~と思いますが、そこまでいったらサスペンションですな。
ともあれ、軸剛性を高めるためにスチールやチタン製のスルーアクスルがチューニングパーツとして発売されるのでは?。グレードによって素材が違う、シマノ製ホローテック2のクランク軸と同じ考え方です。
お問合せは、info@avelotokyo.com または、070-5075-8192 まで。




















